2016年8月11日木曜日

デサントは「巨大市場に挑まない」? 日経ビジネスの騙し

巨大市場に挑まない」というタイトルに釣られて読んでみたら「看板に偽りあり」だった。日経ビジネス8月8・15日合併号の「企業研究~デサント スポーツ用品 巨大市場に挑まない」を書いた武田健太郎記者は本当にデサントは「巨大市場に挑まない」企業だと思ったのだろうか。だとすると記者としての理解力に疑問符が付く。
熊本城(熊本市) ※写真と本文は無関係です

記事の冒頭は以下のようになっている。

【日経ビジネスの記事】

世界中のスポーツ店にはナイキなど巨大ブランドの製品が並ぶ。何もしないと、埋もれてしまう。小兵・デサントの危機感は強い。ニッチな競技、小さな市場。徹底した戦略が好業績を支えている。

リオデジャネイロオリンピックが開幕した。陸上のウサイン・ボルト、テニスの錦織圭…。注目する選手は人それぞれだろうが、社員が「トライアスロンのスイス代表、ニコラ・スピリグでしょ」と言う。それがデサントだ。

今回のオリンピックで同社はトライアスロンスイス代表の他、日本代表ゴルフチームや韓国体操代表チームと公式ウエアサプライヤー契約を結んだ。さらにカヌーや馬術、フェンシングなどにはトレーニングウエアを提供している。メジャーとは言い難い競技が多いが、「競技人口が多い種目で戦っても米ナイキや独アディダスなどには勝てない。得意とする分野に絞り勝負するのがデサント流だ」と石本雅敏社長はニッチトップ戦略を標榜する。

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まず「日本代表ゴルフチーム」と「公式ウエアサプライヤー契約を結んだ」のが気になる。ゴルフは明らかに「競技人口が多い種目」であり、ゴルフウエア市場では「米ナイキや独アディダスなど」と戦うしかない。記事によると、デサントは「マンシングウェア」のブランドで「アジア主要5カ国でゴルフウエア販売1位」という目標を掲げているらしい。これで「巨大市場に挑まない」と言うのは無理がある。

さらに言えば「水着のアリーナ」も「競技人口が多い種目」で「米ナイキや独アディダスなど」に挑んでいる例だろう。デサントの「アリーナ」ブランドでの目標は「オリンピックでの着用選手のメダル獲得数1位」。「デサントの営業員は、他のスポーツ用品メーカーならあまり興味を示さない百貨店の売り場拡大に力を入れる」といった独自性はあるのだろうが、メジャーな競技で世界の大手企業と勝負しているのは間違いない。

記事を最後まで読んでも「見出しに騙された」としか思えなかった。この内容で「巨大市場に挑まない」という大きな見出しを付けるのが適切だったかどうか、武田記者にはじっくりと考えてほしい。


※記事の評価はD(問題あり)。暫定でDとしていた武田健太郎記者への評価はDで確定させる。

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