火事(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
帝人が大阪・船場地区にある大阪本社が入る「帝人ビル」(大阪市)の土地と建物の売却を検討していることが明らかになった。2017年春をめどに大阪・中之島などへの移転を検討しており、売却先にはJR九州が候補に挙がっている。船場地区はかつて繊維メーカーや問屋の集積地だったが、近年は梅田や東京への流出が相次いでいる。
帝人の登記上の本社は大阪だが、実質的な本社機能は東京に移っている。現在は繊維やエンジニアリング部門に加え、帝人フロンティアなどグループ会社も入っている。帝人ビルの完成は1974年で老朽化が進んでいた。
船場地区では東洋紡など繊維会社が誕生したが、繊維産業の衰退とともに東京への本社移転が相次いだ。大手商社でも伊藤忠商事が大阪の拠点を2011年に、丸紅が15年にそれぞれ船場から梅田地区に移している。
7月12日付の朝刊九州経済面に載った「大阪・船場の帝人ビル JR九州へ売却検討」という記事についてお尋ねします。
この中に「船場地区では東洋紡など繊維会社が誕生したが~」との説明が出てきます。しかし、東洋紡のホームページでは、大阪紡と三重紡が合併して東洋紡が誕生した当時に関して「創立時の本社は、三重県の四日市工場内にありました」と記しています。大阪紡も発祥の地は大阪市大正区で、船場とは距離があります。記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいという場合、その根拠も教えてください。記事が誤りである場合は訂正記事の掲載もお願いします。
ついでに当該記事に関して注文を付けておきます。「帝人が大阪の帝人ビルをJR九州に売却する方向で検討している」という記事を九州経済面に載せるなとは言いません。しかし、載せるのであれば九州経済面用に仕上げるべきです。
記事中の九州に関する情報は「売却先にはJR九州が候補に挙がっている」という一文だけです。「大阪の船場地区」や「帝人グループ」について紙幅を割く余裕があるのならば、「JR九州はどうコメントしているのか」「なぜJR九州が大阪でビル購入を検討しているのか」などに触れてほしいところです。
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東洋紡にも問い合わせたところ「弊社の発祥の地は船場地区ではありません。日本経済新聞社へは弊社から記事の誤りを指摘しました」との回答を得たので、記事の説明は誤りだと断言してよいだろう。日経の体質からすれば回答はないと思うが、訂正記事が載るかどうかは注目したい。
九州経済面の記事なのにJR九州の情報がほとんどない問題については、記者を責めるのは難しい。整理担当者や地方部担当デスクの責任と考えるべきだ。電子版で記事を見ると、記事の最後に「JR九州は不動産事業に力を入れており、ホテルかマンションとして再開発することを検討している」という説明がある。
あくまで推測だが、近畿経済面用に書いた記事を九州経済面でも使ったのではないか。そこで最終段落を削ってしまったために、JR九州の情報がほとんどない状態になったのだろう。「記事を削るならば、最後から削る」というのは紙面編集の基本ではあるが、それも状況次第だ。
九州経済面で使うならば、「大手商社でも伊藤忠商事が大阪の拠点を2011年に、丸紅が15年にそれぞれ船場から梅田地区に移している」を削って「JR九州は不動産事業に力を入れており、ホテルかマンションとして再開発することを検討している」を入れることを考えてほしかった。
※記事の評価はD(問題あり)。
追記)結局、日経からの回答はなし。13日の九州経済面に訂正記事は載らなかった。
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