2016年6月3日金曜日

日経「イオン、総菜特化の小型店」は本当に総菜特化?

3日の日本経済新聞朝刊 企業・消費面に載った「イオン、総菜特化の小型店 2年で10店、まず東海で」 という記事によると「イオンは持ち帰り総菜に特化した新しい小型店の運営を始める」らしい。しかし、「パンやサラダ類を中心とした総菜、弁当、デザート、輸入菓子、酒類などを扱う」とも書いてある。これで「総菜に特化」と言えるのだろうか。
筑後川に架かる両筑橋(福岡県朝倉市・久留米市)
           ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

イオンは持ち帰り総菜に特化した新しい小型店の運営を始める。売り場面積は200平方メートル前後とし、まず東海地方の都市部で2年ほどかけて約10店の出店を目指す。単身世帯や共働き世帯の増加で、総菜や弁当などの「中食」需要は強まっている。立ち寄りやすい小型店の出店でコンビニエンスストアに対抗する。

新業態名は「DELACO(デラコ)」。総合スーパー(GMS)を手掛けるイオンリテールが6日、名古屋市の中心部に実験店を開業する。パンやサラダ類を中心とした総菜、弁当、デザート、輸入菓子、酒類などを扱う。総菜の一部は店員が量り売りする。

働く20~30代の女性を主要顧客と想定する。「スモークサーモンとほうれん草のキッシュ」で734円、「炙り焼きチャーシュー」は100グラムあたり421円と、通常のスーパーより価格は高めの品ぞろえにする。実験店には設置しないが、今夏に開業予定の2号店では買ったものをその場で食べるイートインスペースを設置。2店の動向を踏まえ、さらなる拡大を検討する。

地方の大型店が多いイオンは、人口が流入する都市部への事業基盤のシフトを重要な経営戦略の1つに掲げる。中でも小型店は地域ごとに新業態の開発に力を入れており、全国展開できるモデルの確立を急ぐ。

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総菜に特化=総菜比率100%」とは言わない。しかし、記事では総菜以外に「パン」「弁当」「デザート」「輸入菓子」「酒類」も扱うと書いている。「など」が付いているので、もっと幅広く扱うのかもしれない。例えば「総菜以外も扱うが、商品の90%以上は総菜」というなら「総菜に特化」と認めてもいい。しかし、そういう説明はない。記事だけで判断すると「総菜に特化」とは思えない。

記事では、具体的な商品として「スモークサーモンとほうれん草のキッシュ」を挙げている。「キッシュ」とは、フランスのパイ料理の1つらしい。「総菜」を辞書で調べると「日常の食事の副食物。ふだんのおかず」(大辞林)と出てくる。だとすると「キッシュ」が「総菜」かどうかは微妙だ。個人的には「何でもいいから総菜を買ってきて」とお願いして「キッシュ」を選んでこられたら、かなり驚く。

総菜に特化」というのが話の柱で、見出しにも使っているのだから「確かにこれは総菜に特化した店だな」と納得できる説明をしてほしかった。

ついでに言うと「パンやサラダ類を中心とした総菜、弁当、デザート、輸入菓子、酒類などを扱う」という列挙の仕方は頂けない。これだと「パン総菜」と解釈できるが、パンは総菜ではないだろう。「パンや、サラダ類を中心とした総菜」と読点を用いれば問題は解決する。ただ、「総菜に特化」という要素を考えると、最初に出てくるのが「パン」なのは好ましくない。例えば「サラダ類を中心とした総菜、弁当、パン、デザート、輸入菓子、酒類などを扱う」としてはどうだろうか。

もう1つ付け加えておこう。

最初の段落では「東海地方の都市部で2年ほどかけて約10店の出店を目指す」と書いているのに、読み進めると「2店の動向を踏まえ、さらなる拡大を検討する」となっている。「2年で10店」という方針は決まっているのか、それとも2店がうまくいけば「2年で10店」を目指すのか、判断に迷った。

「2年で10店の方針は決まっている。そこからさらに増やすかどうかを最初の2店で見極める」という可能性もある。しかし説明が不十分なので、実際にイオンがどう考えているのか、よく分からないままだ。

※記事の評価はD(問題あり)。

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