2016年6月26日日曜日

シーズン途中でも山田は「三冠」? 日経だけではないが…

ヤクルトの山田が打率、本塁打、打点でリーグトップに立った。これを受けて、26日の日本経済新聞朝刊スポーツ2面には「山田ついに三冠 3安打で打率も首位」という記事が出ている。しかし、シーズン途中で「三冠」とするのは引っかかる。まだ冠は1つも手にしていないはずだ。
福岡県うきは市の空き家 ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

ヤクルト・山田が4打数3安打で打率3割3分6厘とし、巨人・坂本を抜いた。目下リーグ三冠の打棒は一回からさく裂し、今季のなかでも「一番いい打球」という逆転3ランを左翼席上段へ運んだ。

パ・リーグの好投手を苦にしなかったスイングで、リーグ戦再開後の2試合で5安打と、当たり前のように打ち続けている。「いつ崩れるかわからない」と慎重だが、来た球に直感で対応しているという打撃に、当面不安要素はなさそう。

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三冠王」とは「野球で、1シーズンに首位打者・打点王・本塁打王の三つのタイトルを獲得した選手」(デジタル大辞泉)だ。記事で「目下リーグ三冠」と書かれると、「目下リーグ優勝の広島(広島は現在、セリーグ首位)」と言われるのにも似た違和感を覚えてしまう。

ちなみに日刊スポーツも「ヤクルト山田哲人内野手(23)が3安打4打点を挙げ、打率、打点、本塁打でリーグトップの3冠に立った」と書いていたので、この使い方は日経だけではない。野球関係者の中にいると違和感がなくなる表現なのかもしれない。

ただ、スポニチは問題のない書き方になっていた。日経の記者は参考にしてほしい。

【スポニチの記事】~山田 打撃3冠部門で全部1位は自身初 右打者三冠王なら史上5人目

山田(ヤ)が逆転の25号3ランを含む3安打4打点。打率を・336に上げ、坂本(巨=・326)を抜いてリーグトップに立った。本塁打、打点は既に1位を独走しているが、打撃3冠部門でシーズン途中に全て1位は自身初めてだ。

3冠王は04年松中(ダ)まで7人(11度)が記録。うち右打者では38年秋の中島(巨)、65年野村(南海)、82、85、86年落合(ロ)、84年ブーマー(阪急)の4人(6度)。セの右打者で獲得すれば初めてになる。山田は現在、打撃11部門で1位。歴代3冠王の中で73年王(巨)はこの11部門のうち盗塁、二塁打を除く最多の9部門で1位になったが山田はどうか。

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スポニチの記事には「現時点で三冠」というニュアンスを感じない。しかも「三冠」が打率、本塁打、打点の主要3部門でのタイトルを指すことをきちんと説明している。

日経の記事にはそれがない。「野球の記事を読む人ならば『三冠』だけで分かる」と記者は反論するかもしれない。しかし、熱心な野球ファンが読むはずのスポーツ紙でもきっちり書いている。そこは見習った方がいい。


※日経の記事の評価はC(平均的)。

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