2016年6月14日火曜日

日経「一目均衡」で 西條都夫編集委員が忘れていること

14日の日本経済新聞朝刊 投資情報面の「一目均衡~スリーダイヤの割り切り」というコラムで西條都夫編集委員が三菱グループについて書いている。気になったのは三菱自動車に関するくだりだ。これを読むと、三菱グループの企業が「外資の傘下に入る」のは初めてのような印象を受ける。しかし、似たような事例は過去にもある。しかも自動車関連だ。西條編集委員はそのことを忘れている(あるいは最初から知らない)のではないか。
熊本県立済々黌高校(熊本市) ※写真と本文は無関係です

問題の部分は以下のようになっている。

【日経の記事】

日本企業と日本という国の距離が少し離れ始めたのかもしれない。そんなことをふと感じたのは、三菱グループをめぐる2つのニュースがきっかけだ。

一つは燃費不正に揺れる三菱自動車の再建問題だ。当初は三菱グループが救いの手を差し伸べるかと思われたが、ふたを開けると、日産自動車が救済役として名乗りを上げ、三菱自の筆頭株主に座ることになった。日産自動車の筆頭株主は仏ルノーであり、三菱自は間接的に外資の傘下に入ることになる

そんな事態を三菱グループとして容認できるのか、旧知のグループ元首脳を訪ねると、意外にさばさばした表情で「落ち着くところに落ち着いた」という。三菱自はかつてのリコール隠しの痛手から立ち直り、1000億円を超える営業利益を安定して出せる体制ができつつあった。

だが、次の成長戦略をどう描くのか、年産100万台規模の中堅企業として自助努力の範囲でできることには限界がある。「日産が外資かどうかは関係ない。今回の件がきっかけで、しっかりしたパートナーができたのはかえってよかった」と元首脳はいう。

2004~05年の三菱自の経営危機の際は、三菱商事などグループ主要3社が優先株の出資などで支えた。今から振り返れば、あの時の支援劇は、日産という本当のパートナーを見つけるまでの「時間稼ぎ」だったようにも見える。

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三菱ふそうトラック・バスは10年以上前に独ダイムラーの子会社になっている。三菱ブランドの企業が外資の傘下に入るのは、三菱自動車が初めてではない。「三菱自は間接的に外資の傘下に入ることになる。そんな事態を三菱グループとして容認できるのか」と西條編集委員は思ったようだが、以前にも実績があるのだから驚くような新しい動きではない。

三菱自動車の外資傘下入りを見て、「日本企業と日本という国の距離が少し離れ始めたのかもしれない」と西條編集委員は受け止めたようだ。10年以上前に同じような動きが既にあったことは忘れてしまったのだろうか。

「三菱ふそうと三菱自動車では重みが違う」などと色々弁明はできるだろう。だとしたら、その点に触れるべきだ。記事を読むと「西條編集委員は三菱ふそうのことを知らないのか」との疑念が湧く。ゆえに筆者を信頼して記事を読み進めるのが難しくなってしまう。

西條編集委員に関しては、元から信頼はしていないが…。

ついでに言うと、株式市場などと関連させて書いていないのも気になる。「企業面」ではなく「投資情報面」のコラムだという点を西條編集委員はもう少し意識した方がいい。さらについでに言うと、記事で使っている「際だった」に関しては「際立った」としてほしい。「だった」を平仮名表記すべき理由はない。「際だった」とすると「際であった」とも取れるので、かえって読みづらくなる。


※記事の評価はD(問題あり)。西條都夫編集委員への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。同編集委員の評価については「タクシー初の値下げ? 日経 西條都夫編集委員の誤り」を参照してほしい。

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