2016年5月31日火曜日

不足のない特集 週刊エコノミスト「固定資産税を取り戻せ」

週刊エコノミスト6月7日号の特集「固定資産税を取り戻せ!」はカネを払って読むに値する良作だった。まず「複雑怪奇な固定資産税 納税者も気づかずミス長期化」という記事で、徴収ミスが相次ぐ背景を解説。「そうだったのか!? 意外と知らない固定資産税の基礎知識」で固定資産税を理解する上で必要な情報を提供している。さらに「最低限押さえておきたい 私の固定資産税 3つのチェックポイント」では、自治体から送られてくる「課税明細書」の見方を教えてくれる。
浅草寺の五重塔(東京都台東区)
          ※写真と本文は無関係です

特集のタイトルを見た時に「固定資産税を取り戻せ!」は大げさなのではと思ったが、種市房子記者の書いた「鉄筋量の誤り、土地使途間違い… こうして取り戻した6事例」を読むと、個人はともかく法人はかなり取り戻せる可能性が高そうだと思えた。

制度比較 海外とはこんなに違う ウェブで誰でも評価額を確認 米国、英国との情報開示に差」(筆者は篠原二三夫ニッセイ基礎研究所 土地・住宅政策室長)や「匿名座談会 現場関係者が内幕を語る ずさんな評価は数知れず 自治体にノウハウなし」では、日本の固定資産税が抱える問題に加え、改革の方向性も論じていた。特集として揃えるべきものは、きちんと揃っている。

固定資産税に関する知識が乏しいからかもしれないが、23ページにわたる特集を通して読んでもツッコミどころは特になかった。

個人的に期待している種市房子記者が手掛けた特集という意味でも今回は注目していた。この出来ならば申し分ない。全体として、期待を裏切らない特集に仕上がっている。

※特集の評価はB(優れている)。種市房子記者と一緒に特集を担当した桐山友一記者への評価はBで確定させる。種市記者への評価は暫定C(平均的)から暫定Bへ引き上げる。種市記者に関しては「事前報道に懐疑的な週刊エコノミスト種市房子記者に期待」を参照してほしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿