福岡県うきは市の流川桜並木※写真と本文は無関係です |
「『顧客目線』と『変化対応』 鈴木会長が貫いた二つの哲学」という記事では、冒頭で以下のように書いている。
【ダイヤモンドの記事】
セブン-イレブンの1号店をオープンさせてから42年間、鈴木敏文会長は二つの考えを訴え続けた。それは顧客目線と変化対応。いつしか組織全体に浸透し、今日の成功の礎となった。
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鈴木氏は経営者としてコンビニだけに関わってきたのではない。ヨーカ堂も長年にわたって指揮している。「顧客目線と変化対応」の考え方が「いつしか組織全体に浸透し、今日の成功の礎となった」のならば、なぜヨーカ堂はダメになってしまったのか。そこを論じないと「帝国の軌跡」をきちんと振り返ったとは言えない。
経営方針を徹底させるための時間も権限も鈴木氏にはあった。なのにヨーカ堂には浸透しなかったとすれば、経営者としての能力に疑問符が付く。「組織(グループ)全体に浸透」したのに、ヨーカ堂を立て直せなかったとすれば、鈴木氏の訴えた「顧客目線と変化対応」がコンビニ事業の成長を支えたのか疑わしい。
鈴木氏が出した方針をヨーカ堂の従業員が守らなかったとは考えにくい。ダイヤモンドも「社内外を一枚岩にして動かす 鈴木イズムが生んだ鋼の組織」という記事で以下のように説明している。
【ダイヤモンドの記事】
鈴木敏文会長が生み出したのは、コンビニエンスストアだけではない。社内のみならず、社外まで巻き込んで一枚岩のようにして動かす“鋼の組織”もその一つだ。
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ダイヤモンドの記事の通りだとすれば、ヨーカ堂にも鈴木氏の考え方は浸透していたはずだ。なのに業績は低迷を続けた。だとすれば、経営者の考え方自体が間違っていたと判断すべきだ。鈴木氏に関しては「コンビニとその関連事業を除くと、的確な経営方針を示せなかった」と評するのが適当だと思える。なのにダイヤモンドは、うまく行った部分にだけ光を当てて論じてしまった。そんな書き方しかできないのであれば、Part3は省いた方が良かった。
※特集全体の評価はD(問題あり)。田島靖久副編集長への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。新井美江子記者、泉 秀一記者、大矢博之記者への評価はDを維持する。田島副編集長への評価については「週刊ダイヤモンドを格下げ 櫻井よしこ氏 再訂正問題で」を参照してほしい。また、今回の特集に関しては「セブン&アイ 反鈴木敏文派を『虫』と呼ぶ週刊ダイヤモンド」「『セブンイレブンが先駆者』? 誤り重ねる週刊ダイヤモンド」でも取り上げている。
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