鎮西身延山 本佛寺(福岡県うきは市) |
【日経の記事】
参加者の多くが「なぜこの会社?」と思ったのがセーレンだ。福井県に本社があり、2005年に産業再生機構傘下で再建を進めた旧カネボウから合繊事業を買収した。繊維産業が衰退する中でも業績は好調。シート用の素材も作り自動車部品メーカーの顔も持つ。
主催者側が注目したのが経営モデルだった。誕生したのはカネボウができて2年後の1889年。繊維大手から原糸を買い、染める「賃加工」の典型的企業だったが、不況をテコに織、編、縫製と16種類もある繊維の製造販売工程を買い集め、一貫体制を築いた。
【日経への問い合わせ】
日本経済新聞社 編集委員 中山淳史様
3月7日の「経営の視点」という記事についてお尋ねします。記事の中で中山様はセーレンについて「繊維大手から原糸を買い、染める『賃加工』の典型的企業だった」と説明されています。しかし、これには2つの問題を感じました。
まず染色加工は一般的に「原糸」ではなく「生地」に対して行うものです。後述する会長コメントから考えても、セーレンで糸染めは仮にあってもごく一部だと思われます。では「生地を買って染める」のが「賃加工」かと言えば、そうではありません。「賃加工」の場合、生地を買うのではなく、商社など発注元から預かって染色し、その対価として加工賃を得るという取引になります。
PRESIDENT Onlineの記事の中でセーレンの川田達男会長も「セーレンは染色加工を専門とし、取引先から預かった生地を指示どおりの色や柄に染める委託賃加工を生業としていました」と述べています。
記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠を教えてください。
ついでで恐縮ですが、見出しにもなっている「成熟産業を成長産業に」という説明についても問題点を指摘させていただきます。中山様は記事中で川田会長について「成熟産業を成長産業に変えて、無名のセーレンを繊維業界の21世紀の勝者に押し上げた」と解説されています。
ここで言う「成熟産業」が「繊維産業」を指すのであれば川田会長が「成熟産業を成長産業に変えた」とは言えません。日本の繊維産業が衰退傾向から脱し切れていないのは周知の事実です。中山様自身も記事の中で「(セーレンは)繊維産業が衰退する中でも業績は好調」と書いています。川田社長は「成熟企業を成長企業に変えた」かもしれませんが、繊維産業全体を衰退から成長へと転換させるような働きはしていないはずです。
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中山編集委員は繊維業界の「賃加工」について、きちんと理解していないのだろう。そうではないのならば問い合わせに回答してほしいところだが、実現の可能性は極めて低い。
付け加えると、「無名のセーレンを繊維業界の21世紀の勝者に押し上げた」との説明にも中山編集委員の知識不足を感じる。セーレンが東証・大証の第1部に上場したのは1973年なので、少なくともその時点で「無名」から脱している。記事によれば川田会長がセーレンの経営を任されたのは29年前で、東証・大証の1部上場を果たした後だ。故に「無名のセーレンを繊維業界の21世紀の勝者に押し上げた」と川田会長を紹介するのは無理がある。
この記事には他にも問題がある。それらについては(2)で述べたい。
※(2)へ続く。
追記)結局、回答はなかった。
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