西南学院大学(福岡市早良区) ※写真と本文は無関係です |
【東邦出版への問い合わせ】
「上位1%のエリートしか知らない ニッポン経済最強論!」という本の内容についてお尋ねします。79ページに「日本政府も全く同じで、確かに巨額の債務を持っていますが、資産超過、つまり借金総額より資産総額の方がはるかに多いという、世界で唯一の先進国なのです」と書いてあります。しかし、財務省のホームページを見ると、2013年度末の「国の貸借対照表」では、資産合計652兆円に対し負債合計1143兆円で債務超過です。このデータが絶対だとは言いませんが、「日本政府が資産超過」と思える根拠は見つけられませんでした。
78ページの「(日本の国債が安全な)理由は簡単で、元本も利息もすべて日本国民に返るからです」との説明にも疑問を感じました。日銀統計によると、2015年9月末時点で国債発行残高に占める外国人のシェアは9.8%に達しています。常識的に考えれば、外国人の保有分について「元本も利息もすべて日本国民に返る」とは思えません。
上記の2点に関する説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。
【東邦出版からの回答】
「日本政府が資産超過」という部分と、「元本も利息もすべて日本国民に返る」という部分についてお伝えいたします。
1.「国の貸借対照表」には民間の資産が計上されておりません。そして、民間は負債がありません。日銀の資金循環統計をご覧いただくとご理解が進むかもしれません。
2.国債発行残高の外国人シェアのなかには、外国人の顔をした日本人、つまり日本人の資金が海外で運用されているぶんがあります。それを考慮すると90.2%以上が「日本国民のもの」と予測されるため「すべて」という表現をしております。
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「国の借金」と「政府の借金」は別物といった話はよく聞くし、一理はある。ただ、今回の場合、「日本政府も全く同じで、確かに巨額の債務を持っていますが、資産超過、つまり借金総額より資産総額の方がはるかに多いという、世界で唯一の先進国なのです」と書いている。これだと「資産超過」なのは「日本政府」と考えるしかない。なのに「民間の資産」を含めて日本政府を「資産超過」と捉えているのだろう。この回答は理解できなかった。こちらの理解力不足の可能性はあるが…。
次の「国債発行残高の外国人シェアのなかには、外国人の顔をした日本人、つまり日本人の資金が海外で運用されているぶんがあります」というのは、その通りだろう。これもよく聞く話だ。ただ、本物の外国人がゼロだとは考えにくい。ゼロでないのならば「すべて」と書くのは乱暴だ。「ほぼすべて」ぐらいにすべきだ。
この辺りに「ぐっちーさん」の説明の雑さが出ている。例えば「ぐっちーさん」は誰かに無利子で100万円を貸した場合、98万円が返ってきたら「すべて」返済されたと考えるのだろうか。
第2章の「日本国債は強くて美しいのだ」には、他にも気になる記述があった。これには(3)で触れる。
※(3)へ続く。
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