2016年3月10日木曜日

「シャトレーゼ」「三越伊勢丹」…日経のベタ記事に感じる問題

日本経済新聞で問題のある記事を最も簡単に探せるのが企業ニュースを掲載している面(企業総合面、企業面など)だ。その中でもベタ記事は特に完成度が低い。10日の紙面から2つの記事を取り上げて、課題を探ってみたい。
大分県日田市の三隈川(筑後川) ※写真と本文は無関係です

まず企業面の「シャトレーゼが中東にスイーツ輸出」という記事の全文を見ていく。

【日経の記事】

総合菓子メーカーのシャトレーゼ(甲府市)はアラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国にケーキなどのスイーツ商品を輸出する。現地企業と日本企業の合弁会社との間でフランチャイズ契約を結び、中東で初めて店舗を展開する


現地商社のINDEXホールディングと日本の中東関連商社、ksnコーポレーション(東京・墨田)の合弁会社、INDEXksnにケーキなどを瞬間冷凍して輸出する

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シャトレーゼが中東にスイーツ輸出」という話なのに必須情報である「いつから輸出するのか」が抜けている。本来ならば(1)輸出は初めてなのか(2)どの程度の輸出量になるのか(3)なぜUAE(あるいはドバイ)に目を付けたのか(4)「中東で初の店舗」ということは、中東以外になら海外店舗があるのか(5)いつから店舗展開を始めるのか(6)どの程度のペースで店舗展開するのか(7)なぜ自社で進出せず、他社にFC展開させるのか--なども盛り込みたいところだ。

これらの要素を20行に満たないスペースに入れるのはもちろん不可能だ。そこは多すぎるベタ記事を捨てて対応してほしい。10日の紙面では企業面と企業・消費面が見開きになっていて、2つの面に9本のベタ記事が載っている。これはちょっと多すぎる。必要のない記事は大胆に落として、載せる記事に関しては「入っている方が望ましい情報」をなるべく多く盛り込んでほしい。

10日の紙面にある企業関連のベタ記事で最も要らないと思えたのが企業・消費面の「銀座の免税店で高級腕時計販売 三越伊勢丹」だ。これも記事の全文を紹介したい。

【日経の記事】

越伊勢丹ホールディングスと日本空港ビルデングなどは9日、三越銀座店(東京・中央)の空港型免税店内に高級腕時計を扱うコーナー「タイムヴァレー」を開いた。「カルティエ」や「ゼニス」など7つの高級ブランドを販売する。取扱商品の平均価格は約200万円。

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三越銀座店の中に空港型免税店ができたという話ならば、記事にするのも分かる。しかし、空港型免税店の中に「高級腕時計を扱うコーナー」を新設したぐらいなら、わざわざ取り上げる必要はない。空いたスペースを活用してシャトレーゼのベタ記事に情報を加えていけば、要らないベタ記事が消える上に、シャトレーゼの記事は完成度が高まる。まさに一石二鳥だ(企業面と企業・消費面で記事の入れ替えが多少必要になるが…)。

さらに言えば、この「銀座の免税店で高級腕時計販売」に関しては三越伊勢丹が2日に発表したものだ。つまり、世に情報が出てから1週間以上が経過した段階で紙面に載せている。それを何のひねりもなく記事にする姿勢にも問題を感じる。二重の意味で三越伊勢丹の記事は「要らないベタ」だと思える。


※記事の評価はいずれもD(問題あり)とする。

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