モード学園コクーンタワー(東京都新宿区) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
「改革2年目」の課題は何だろうか。
統治指針は「取締役会評価(ボードエバリュエーション)」や「ESG(環境・社会・統治)問題への対応」など、なじみの薄い海外の制度や概念も詰めこまれている。企業はそしゃくする力が求められる。
表面的に規則を守るだけでなく、ガバナンスの実効性を高めることも重要になってくる。注目されそうなのは取締役会のあり方だ。
コンサルティング会社エゴンゼンダーの調べでは、東証1部上場企業が1回当たりの取締役会に要する時間は平均1.7時間。この結果について、同社の佃秀昭社長は「日本の取締役会は報告事項も多いため、中長期の成長戦略の議論に十分に時間を割くのは難しい」と指摘している。取締役会の議題を簡素化し、中身のある議論を増やすといった地道な改革も大切になってくる。
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まず、なぜ「注目されそうなのは取締役会のあり方だ」と言えるのかよく分からない。「取締役会に要する時間は平均1.7時間」というのは、おそらく「短い」と言いたいのだろう。だから「取締役会のあり方」が問われているのだろうか。これが平均3時間に増えたら「改革が進んだ」となるのだろうか。会議は長ければいいわけではない。
「取締役会の議題を簡素化し、中身のある議論を増やすといった地道な改革も大切になってくる」と小平編集委員は言う。しかし、簡素化した結果として1.7時間で済んでいる可能性はないのか。上記のくだりを繰り返し読んでみても「改革2年目は取締役会のあり方が重要だな」とは、とても思えなかった。
◎2014年のラインキングでは?
【日経の記事】
海外にも目を向けたい。アジア各国・地域は監督当局の主導で、日本の統治指針に似たコードの導入に動いている。大手運用会社で構成するアジアン・コーポレート・ガバナンス協会(ACGA)の企業統治評価で日本は11カ国中、香港とシンガポールを下回る3位。マレーシアなどにも追い上げられている。
ガバナンス改革にはアジア全域に広がる競争の側面がある。株価の上昇が続く日本も、改革の短期の成果に満足している余裕はない。
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この流れで「企業統治評価で日本は11カ国中、香港とシンガポールを下回る3位」と書いてあると、6月以降の企業改革の進展を受けて3位と評価されたような気がしてしまう。しかし、これは2014年のランキングのようだ。同年9月26日の日経の記事には「香港が拠点の投資家団体アジア企業統治協会(ACGA)と投資銀行CLSAは25日、2014年のコーポレートガバナンス(企業統治)ランキングを発表した。国・地域別では香港とシンガポールが首位で並び、日本は前回12年調査の4位から3位に順位を上げた」との記述がある。
14年のランキングを使うなとは言わないが、「14年」は明記してほしい。あえて触れなかったのならば、「書き手としてモラルが低い」と言われても仕方がない。
最後に1つ。「日本は11カ国中、香港とシンガポールを下回る3位」と書くと香港を国と見なしていることになってしまう。「日本は11の国・地域の中で香港とシンガポールを下回る3位」などとした方がよい。
※記事の評価はD(問題あり)。小平龍四郎編集委員の評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。F評価の理由については「基礎知識が欠如? 日経 小平龍四郎編集委員への疑念」を参照してほしい。
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