2015年11月9日月曜日

週刊ダイヤモンド 「誰がテレビを殺すのか」に見えた希望(1)

週刊ダイヤモンドに明るい兆しが見えてきた。この半年ほど、当たり障りのない特集ばかり組んでいた同誌が、11月7日号の「ステマ症候群」に続き、11月14日号でもリスクを負った読み応えのある特集「誰がテレビを殺すのか」(50~87ページ)を送り出してきた。しかも、取材班の最初に名前が出ているのは田島靖久副編集長。鈴木敏文セブン&アイホールディングス会長へのヨイショ記事の印象が強い田島氏が今回の特集を主導していることは、特に明るい材料だ。

シーサイドももち海浜公園(福岡市早良区) ※写真と本文は無関係です
「日本で最も質の高い経済メディアは週刊ダイヤモンド」とずっと思ってきた。しかし最近では、間違い指摘を握りつぶしたり、無難な特集でお茶を濁したりと、ダメな面ばかりが目立っていた。経済メディアとして週刊東洋経済より下に位置付けるべきではないかとも考えていた。今回見えた希望の灯を大事に育てて、かつての輝きを取り戻してほしい。

特集にはいくつか引っかかった点もある。以下では、それらを指摘したい。


【ダイヤモンドの記事】

一方で、看板バラエティ「めちゃ×2イケてるッ!」を手掛けた、片岡飛鳥氏を2年ぶりにバラエティ制作に復帰させた。

ところが、その片岡氏がかじ取りをした、今年の長時間特別番組「FNS27時間テレビ」の視聴率は、期待を裏切って歴代ワースト3位という大失敗。亀山社長が10月の定例会見で、今後の打ち切りを示唆する事態に発展した。

片岡氏には、現場からも「『俺が面白いと思う企画しか通さない』という傲慢な態度を取っていたが、見事にコケてしまった」(制作若手社員)、「今は片岡さん以上に、結果を出していない彼の責任を問わない上層部の方がどうかしていると思う」(別の制作若手社員)といった批判の声が巻き起こっている始末だ

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記事では「フジテレビ社員20人に聞きました『なぜ凋落したと思いますか?』」というタイトルを付けて社員の声を紹介している。その中の「片岡飛鳥(バラエティ制作センターのチーフゼネラルプロデューサー)には、下は全員、はらわたが煮えくり返る思いでいる  制作・中堅」というコメントがある。これをそのまま載せて、さらに上記のくだりで片岡氏を批判的に描いているのは感心しなかった。

社員コメントは単なる悪口の類ではないか。「全員、はらわたが煮えくり返る思いでいる」と言っているが、全員に確認したとは考えにくい。こういうコメントを使うなとは言わないが、慎重な対応が必要だ。筆者としては本文中で「なぜ部下の受けが悪いのか」を説明したつもりかもしれないが、怒りを買う理由としては「態度が傲慢」ぐらいしか分からない。これだと、ちょっと苦しい。せめて記事中で片岡氏に反論の機会を与えるべきだ。取材を依頼して断られたのならば、その点を明記してほしい。さらに言えば、上記のコメントは「なぜ凋落したと思いますか?」の答えにもなっていない。


今回の特集で最も引っかかったのは最後の記事「地上波の功罪に揺れるテレビの未来」だ。これに関しては(2)で触れる。また、田島副編集長が関わったヨイショ記事については「ダイヤモンド 『鈴木敏文』礼賛記事への忠告」「度が過ぎる田島靖久ダイヤモンド副編集長の『鈴木崇拝』」を参照してほしい。

※(2)へ続く。

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