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【東洋経済の記事】
--今年は五輪のゴールドパートナー契約も結びましたが、今後、広告宣伝費比率は、どれぐらいまで上げていくのですか。
ナイキ、独アディダスの広告宣伝費は00年の初頭からずっと10%を超えている。アシックスも12%以上使ったときがあったので、10%にもう1回戻したい。
これだけの短い行数に問題が山積している。まず、直近の広告宣伝費比率に触れていないのは良くない。ほとんどの読者はアシックスの広告宣伝費比率を知らないはずだ。直近が5%なのか9%なのか、読者に示すべきだ。さらに言えば、初出から「広告宣伝費比率」とするのは避けてほしい。最初は「売上高に対する広告宣伝費の比率」などと表記した方が親切だ。
注釈なしに「ゴールドパートナー契約」を用いているのも好ましくない。どういう契約なのか簡単な説明は記事中に入れてほしい。また、「00年初頭から」は常識的に考えると「00年代初頭から」の誤りだろう。
そもそも、広告宣伝費に関するやり取りを入れる必要があったのか疑問だ。尾山社長が何かの戦略と絡めて広告宣伝費に関する考えを述べているのならともかく、「アシックスも12%以上使ったときがあったので、10%にもう1回戻したい」といった話ならば、ほとんど意味はない。「あまり論理的に考える社長ではない」と伝えたかったのなら多少は理解できるが、記事全体のヨイショ姿勢からすると、その可能性は低い。
最後にメインの記事から1つ指摘しておく。
◎アフリカは「世界最後の消費市場」?
【東洋経済の記事】
欧米・アジアでの販売拡大に成功し、就任から時価総額を3倍にしたトップの視野には、アフリカという世界最後の消費市場も入っている。
何となく言いたいことは分かるが、アフリカを「世界最後の消費市場」と呼ぶのはおかしい。人が住んでいる地域には必ず「消費市場」がある。10年前も20年前も、アフリカの人々は食料品や衣料品を「消費」していたはずだ。消費の規模やレベルには欧米やアジアと差があるだろう。しかし、「ある時点までアフリカには消費市場がなかった。消費が生まれた順番で言えば最後だ」と言えるわけではない。記事のような表現に接すると、ある種の偏見を感じてしまう。
※特集の評価はD(問題あり)。杉本りうこ記者への評価は暫定C(平均的)から暫定Dへ引き下げる。常盤有未記者も暫定でDとする。2人にはもう少し批判精神を持って記事を書いてほしい。記事作りの技術も改善の余地が大きい。
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