北海のビーチリゾート スヘフェニンヘン(オランダ) ※写真と本文は無関係です |
◎「狙いは狙うもの」?
【日経の記事】
今回の措置の狙いは、元相場の柔軟性を増すことで、国際通貨基金(IMF)のSDR(特別引き出し権)入りを狙うものだったからだ。
「狙いは~狙うものだった」という重複感のある書き方が上手くない。さらに言えば、「SDR入り」は舌足らずな表現だ。せめて初出は「SDRの構成通貨入り」などとしてほしい。知識がない人が読むと「IMFがSDRに入る」と解釈できるのも気になる。改善例を示してみよう。
【改善例】
今回の措置は、元相場の柔軟性を増すことで、国際通貨基金(IMF)におけるSDR(特別引き出し権)の構成通貨として元を採用してもらうのが狙いだったからだ。
◎バブル後に必ず「過剰債務」?
【日経の記事】
ここ30年、世界中で様々なバブルが発生した。はじけた後は共通の爪痕が残る。身の丈に合わぬ信用膨張と過剰債務である。
記事には「日米中 バブルのバトンタッチ」というグラフが付いていて、1980年代以降の日米中のバブルを紹介している。2000年頃のITバブルに関しては、崩壊後に「過剰債務」が大きな問題になった印象はない。もちろん皆無とは言わないが…。
◎「その言及に驚いた」?
【日経の記事】
米連邦準備理事会(FRB)は9月に利上げを見送った。その理由として、中国など新興国経済の不透明感を挙げた。市場はその言及に驚き、身をすくめた。
「中国での株価急落や成長減速を重く見て、FRBが9月の利上げを見送るのでは」との見方はかなり有力だった。その点を考慮すると「市場はその言及に驚き、身をすくめた」との説明は大げさすぎるだろう。
◎不確実性の霧が晴れることもある?
【日経の記事】
中国の経済運営がブラックボックスである限り、世界は不確実性の霧に覆われる。日本も例外ではない。アベノミクスもプランB、つまり世界経済が万一の際の備えを、懐に用意しておく局面なのかもしれない。
上記のくだりが記事の結論部分だ。これを読むと「この筆者は大丈夫かな」と改めて思ってしまう。滝田編集委員の考えでは「中国の経済運営がブラックボックスである限り、世界は不確実性の霧に覆われる」らしい。ならば、中国の経済運営がブラックボックスでなくなった時に、世界は不確実性の霧から逃れられる可能性が出てくるのか。
基本的に、いつの世も世界経済は不確実性の霧から逃れられないはずだ。「リーマンショックは米国の経済運営がブラックボックスだから起きたのか」と考えてみれば分かるだろう。「各国が透明性のある経済運営をすれば、バブルの生成や崩壊もなくせる」という理論でもあるのならば、滝田編集委員の手でぜひ記事にしてほしいものだ。
※記事の評価はD(問題あり)。滝田洋一編集委員の評価はE(大いに問題あり)を維持する。
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