2015年9月3日木曜日

素人くささ漂う ダイヤモンド「回転寿司 止まらぬ進化」(2)

週刊ダイヤモンド9月5日号の特集3「ビッグデータまで活用 回転寿司 止まらぬ進化」について引き続き「素人くささ」を見ていく。以下の結論部分も「分かって書いているのかなぁ…」と不安になった。
アントワープ中央駅(ベルギー) ※写真と本文は無関係です

【ダイヤモンドの記事】

しかし、実は唯一にして最大の空白地帯が残されている。それは都心部である。

薄利多売のビジネスモデルのため、特に100円均一の回転寿司は、これまで家賃の低い郊外に出店が限定されていた。ある回転寿司の幹部は「売上高が月間4000万円稼げても、家賃の高い都心部は経営的には苦しい」と話す。

そういう意味では、高い家賃でも利益が出せる新たなビジネスモデルを開発し、都心部を制した企業が飛躍的に成長する可能性を秘めているといえる。だが、それができなければ、飽和した市場におけるパイの奪い合いは収まらず、行き着く先はさらなる再編淘汰しかないのかもしれない。


まず「唯一にして最大の空白地帯」が気になる。「『唯一』なら当然に『最大』でしょうね」とツッコミたくなる。例えば「唯一にして巨大な空白地帯」ならば違和感はないが…。それに「都心」とは「大都市の中心部」だ。そもそも面積が狭く、新たなビジネスモデルを開発できても出店数はたかが知れている。あきんどスシローで言えば、東京でも江戸川区や足立区には既に出店している。空白地帯の「都心」は山手線の内側辺りで、非常に限られた地域だ。大阪や名古屋だと、さらに狭くなるだろう。そこを押さえれば「飛躍的に成長する可能性を秘めている」と書くところに、記者の「素人くささ」を感じてしまう。

ついでに、あと2つ指摘したい。


◎リーマンショックは何年前?

【ダイヤモンドの記事】

もともとカッパは、回転寿司業界におけるリーディングカンパニーだった。100円均一価格や高速レーンをいち早く導入し、売上高ではトップを走り続けた。

ところが、6年前から既存店売上高が前年を下回るようになる。リーマンショック後には大量閉店に追い込まれ、ついに13年2月期には当期赤字に転落した。


「6年前に既存店売上高が前年割れになり、リーマンショック後に大量閉店」と聞くと、「6年前」の後に「リーマンショック」と思ってしまう。しかし、「6年前=2009年」で「リーマンショック=2008年」だ。上記のくだりはどう理解すべきなのだろう。


◎「外食市場は漸減傾向」?

【ダイヤモンドの記事】

日本は少子高齢化社会に突入、外食市場も成長はピークアウトし、漸減傾向にある。そうした業界にあって回転寿司は成長を続けている数少ない業態だ(103ページ上図参照)。

「外食市場は漸減傾向」と書いてあるので103ページの図を見てみた。しかし図によると、「外食市場全体」は2011年を底に3年連続で伸びている。これを「漸減傾向」と言うのはかなり苦しい。


※記事の評価はD(問題あり)、須賀彩子記者の評価も暫定でDとする。

0 件のコメント:

コメントを投稿