2015年8月16日日曜日

日経の芹川洋一論説委員長は「裸の王様」? (2)

15日の日経朝刊1面に載った「過去を変えるのは未来だ」という記事について、問題点をさらに指摘していく。筆者の芹川洋一論説委員長に問いたいのは「どの世代を念頭に記事を書いているのか」という点だ。以下の記述で20代や30代の読者に伝わるだろうか。


【日経の記事】
アムステルダム(オランダ)の運河 ※写真と本文は無関係です


第3は人である。首脳間の信頼関係を含めた人的なつながりだ。中曽根康弘首相と各国首脳との関係などを思いおこせばいい。摩擦をふせぎ、問題をおさめるネットワークの存在も大きかった。


中曽根氏が首相を務めていたのは1980年代だ。何の説明もなく「中曽根康弘首相と各国首脳との関係などを思いおこせばいい」と言われて当時を想起できるのは、ほぼ中高年読者に限られる。もちろん、当時の状況を学んで知っている若者もいるだろう。しかし、「20代や30代の読者も中曽根氏が各国首脳とどんな関係を築いていたかは当然知っているはずだ」との前提で記事を書くのは感心しない。

中曽根氏がいつ頃、どんな首脳と、どういう関係を築いたかは簡単に説明した方がよい。今回のような書き方をしていると「中高年しか相手にしていない新聞なんだな」と若者に思われても仕方がない。日経のCMなどを見る限り、中高年読者しか相手にしないとのスタンスは取っていないはずだ。

また、芹川氏の記事では平仮名の多用が気になる。中学生でも読めるような漢字を使わずに平仮名表記している意図が理解できない。意図などないのかもしれないが、読みにくさも感じるので、普通に漢字を使ってほしい。この辺りも、社内の誰からも意見が届かない「裸の王様」になっていると考えれば、納得できる。


漢字表記した方がよいと思える表現を一部紹介する。


荷物をおろす→荷物を降ろす

政治的な意味をもつ→政治的な意味を持つ

現在との対話であらわれてくる→現在との対話で表れてくる

思いおこせばいい→思い起こせばいい

摩擦をふせぎ→摩擦を防ぎ

談話のいうとおりだ→談話の言う通りだ


※今回の記事での芹川氏の主張についても検討したかったのだが、その前の段階で問題が多く、主張の妥当性を論じるところまで到達できなかった。記事の評価はD(問題あり)とし、芹川洋一論説委員長への評価はE(大いに問題あり)を維持する。芹川氏のE評価については「日経 芹川洋一論説委員長 『言論の自由』を尊重?」を参照してほしい。

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