アムステルダムのアルベルト・カイプ通りと交差している通り ※写真と本文は無関係です |
ただ、よく分からなかったのが安倍晋三首相との力関係だ。記事を読む限り「首相はお飾り。内閣の方針は実質的に菅が決めている」と判断するしかない。実際、そうなのかもしれないが、一般的に言えば、首相がリーダーであり、官房長官は首相の指示に従って動くはずだ。記事でも菅について「安倍晋三政権のナンバー2」「首相の参謀役」と位置付けている。内閣の意思決定の実態が安倍主導なのか菅主導なのかは、きちんと解説してほしかった。
唯一そこに触れていたのが「大衆薬のネット販売解禁」に関するくだりで「調整役を安倍に託された菅」と書いてある。これ以外は、菅を実質的な国政の最高権力者として描いている。具体的に列挙してみよう。
(1)農協改革
農林水産副大臣だった吉川貴盛に菅が農協改革を任せる。
(2)アジア人観光客の観光ビザ発給要件緩和
法務相、国家公安委員長、国土交通相、外務相を菅が呼んで会議を開き、合意を得る。
(3)人事
日本郵政、日本政策投資銀行、海上保安庁のトップ人事を菅が決定。
記事を読む限り、上記の決定をしているのは安倍ではなく菅だ。安倍には事後報告で済むということだろうか。ならば、菅のすごさに驚くより、安倍の首相としての資質を問いたくなる。特にビザ発給要件緩和の件では、首相抜きの5閣僚で方針を決めているのが気になる。
ついでに、気になる言葉の使い方に触れておこう。「苦境挽回なるか」との表現はやや引っかかった。「汚名挽回」は誤用ではないとの見方があるのだし、「苦境挽回」を使うなとは言えない。ただ、「名誉挽回」が「名誉を取り戻す」という意味なので、「苦境挽回」と言われると「苦境を取り戻す」とのイメージが湧いてくる。違和感を抱く方が少数派かもしれないが…。
※記事はよく練られているし、多くの関係者に取材している点もプラス材料だ。記事の評価はB(優れている)、西澤祐介記者の評価も暫定でBとする。
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