2023年4月13日木曜日

週刊東洋経済:大垣共立銀行を手放しに持ち上げる金田信一郎氏の眼力に問題あり

作家・ジャーナリストの金田信一郎氏が週刊東洋経済で始めた「ヤバい会社烈伝」という連載に期待していたのだが、早くも第2回で残念な内容となっている。記事の終盤を見た上で具体的に指摘したい。

宮島連絡船

【東洋経済の記事】

コンビニのような店舗、ドライブスルーATM、移動店舗……。実は、こうしたアイデアはすでに大垣共立銀行が実現している。若い銀行員を先進サービス企業に出向させて、ノウハウを学び取らせ、サービス業化を進めた。頭取自らも金融商品を生み出した。

「シングルマザー応援ローン」。それは借り入れが難しい、単身で子育てしている女性に向けた優遇ローンだ。子育てに邁進しているシングルマザーが返済を怠ることはない……。そこを支援すれば、少子高齢化が叫ばれる未来に変化をもたらすかもしれない。こうした社会を変えうる発想と、そこにあえてカネを流す胆力にこそ、「銀行の存在意義」がある。


◎どこが「優遇ローン」?

大垣共立銀行」を金田氏は手放しに持ち上げる。持ち上げる価値があるなら、もちろんそれもありだ。しかし、どうも怪しい。「シングルマザー応援ローン」を「単身で子育てしている女性に向けた優遇ローン」と紹介しているが、どう「優遇」しているのか触れていない。

同行のホームページで金利を見ると「シングルマザー応援ローン」は年6.975%。同行には「キレイをかなえる女性専用ローン」という女性向けローンもあるようで、こちらは年5.975%と「シングルマザー応援ローン」より金利が低い。これでなぜ「シングルマザー応援ローン」を「優遇ローン」と言えるのか。

そもそも「育てに邁進しているシングルマザーが返済を怠ることはない」と同行が見ているのなら信用リスクがゼロ(そんなはずはないが…)なので貸出金利はかなり低くできる。さらに「優遇」を加えているのに、結果として他のローン商品より金利が高くなるとは…。金田氏は何かおかしいと思わなかったのか。「大垣共立銀行」の説明を疑いもなく鵜吞みにしたのか。だとしたら金田氏の「ヤバい会社」を見分ける力には大きな疑問符が付く。


※今回取り上げた記事「ヤバい会社烈伝(2)銀行、武富士、カネ貸し~体育会系っすから実は手荒いっす」


※記事の評価はD(問題あり)。金田信一郎氏への評価はB(優れている)からDへ引き下げる。

1 件のコメント:

  1. 佐々木泰志2023年4月13日 20:59

    流石です。日経新聞。間違いを堂々と記事にする。それをチェックする人も容認。組織的に間違いを堂々と行うところに脱帽です。三菱電機、みずほ銀行も最近元気がありませんが、頑張って欲しいと思います。

    返信削除