週刊東洋経済7月23日号の特集「学校が壊れる」の中の「教員不足の深層2:少子化でも特別支援学級はなぜ増える?~急増する『発達障害』の真因」という記事を高く評価したい。筆者の井艸恵美記者は「心の病気」を巡る問題をかなり的確に認識していると感じた。
生月大橋 |
記事の一部を見ていこう。
【東洋経済の記事】
発達障害の概念を広く捉えようとする風潮も強まってきた。「ちょっと問題があると発達障害を疑われる」。こう憤るのは小学6年生の息子がいる女性だ。
「3年生のとき学級崩壊が起きた。36人中8人もの子の親が、担任から『どこか(医療機関に)相談したほうがいいんじゃないですか』と声をかけられたが、学年が上がったら何も問題がなくなった」
発達障害は不注意と多動が特徴とされるADHD(注意欠陥・多動性障害)、強いこだわりや対人関係が苦手といった特性がある自閉症スペクトラムなどが含まれる。ただ、発達障害の原因は明らかではないため、血液検査や脳波などの数値で診断されるものではない。診断基準はあるものの、「衝動性」や「こだわりの強さ」といった特性がどの程度ならば発達障害なのかは、医師の判断に委ねられる。
◎それを「発達障害」と言われても…
「血液検査や脳波などの数値で診断されるものではない」「『衝動性』や『こだわりの強さ』といった特性がどの程度ならば発達障害なのかは、医師の判断に委ねられる」という話ならば「発達障害」を医療の問題として扱うのは絶対にやめた方がいい。
例えば「強いこだわり」が例えば鉄分やビタミンCの不足で起きている場合、それらを補って様子を見るのもいいだろう。しかし「原因は明らかではない」のであれば、各人の個性と見なすべきだ。
同様のことはうつ病にも当てはまるが、成人が自ら病院を訪ねてうつ病患者になってしまうのは自業自得でもある。しかし「発達障害」に関しては、子ども本人が「発達障害」との認定を求めている事例は稀だろう。その分、親や医師の責任は重い。
記事では「都内の公立小学校で教員をしていた片桐健司氏」が以下のようにコメントしている。
「発達障害が話題になって、教員の子どもを見る目が変わり始めた。『手がかかる』で済んでいた子どもが、何かあるとすぐ発達障害と思われるようになった。医師に相談すると何かしらの診断名がついてしまう」
やはり、うつ病の問題と根っこは同じだ。うつ病や「発達障害」と診断されるだけならば、まだいい。厄介なのは、その診断をきっかけに「向精神薬の服用」へと落ちていくことだ。
記事の一部を見ていこう。
【東洋経済の記事】
発達障害とされる子どもが増えることにより、子どもに対して安易な向精神薬の服用が選択されていることも看過できない。
厚生労働省が公開する医療機関の支払いデータ(NDBオープンデータ)を集計すると、向精神薬「コンサータ」の19年の処方量(19歳以下)は15年の3.5倍にまで増加していた。コンサータはADHDに用いられ、脳神経伝達機能に作用し、集中力を高める効果がある。
児童精神科医の石川憲彦医師は「子どもの多動は、成長とともに落ち着くことがほとんどだ。しかし、最近では脳が発達途中の7~8歳以前に薬を服用するケースが増えている。成長過程の脳に作用する薬を長期間飲むことの影響はわかっていない」と話す。
◎「発達障害」の診断から逃げろ!
「発達障害」と診断された「子どもに対して安易な向精神薬の服用が選択されている」のは恐ろしいことだ。「向精神薬」は言ってみれば合法的な覚醒剤。それを幼い子どもにまで服用させるのは狂気の沙汰だ。
我が子を「発達障害」と診断させるな!
全ての親に強くそう訴えたい。
そして、この問題を取り上げた井艸記者を改めて称えたい。
※今回取り上げた記事「教員不足の深層2:少子化でも特別支援学級はなぜ増える?~急増する『発達障害』の真因」
※記事の評価はB(優れている)。井艸恵美記者への評価は暫定D(問題あり)から暫定Bへ引き上げる。井艸記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
本当に「日本は病院数が世界一」? 東洋経済の井艸恵美記者に問うhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_3.html
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