2022年5月25日水曜日

FACTAで「過去の国債債務不履行=非自国通貨建て」と断言した中野剛志氏に問う

個人的にはMMTを支持しているが、日本での代表的な論者である中野剛志氏はあまり信用していない。FACTA6月号の記事でも事実誤認と思える記述があった。以下の内容で問い合わせを送っている。

室見川

【FACTAへの問い合わせ】

評論家 中野剛志様  FACTA編集人兼発行人 宮嶋巌様

FACTA6月号に中野様が書いた「『狂信と平和ボケ』の財務省」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは「実際、過去の債務不履行の事例は、いずれも、非自国通貨建て国債に関するものだ」との記述です。

記事の中で「(変動相場制の下で)自国通貨建ての国債が債務不履行に陥ることは、その国家に返済の意志がある限りはあり得ない」というMMT(現代貨幣理論)の主張を中野様は紹介しています。この主張が正しいとしても「過去の債務不履行の事例は、いずれも、非自国通貨建て国債に関するもの」とは思えません。

代表的なMMT論者であるL・ランダル・レイ氏は著書「MMT」で以下のように述べています。

1998年、ロシアはその政府債務のデフォルトによって金融市場に衝撃を与えた。多くの人々が、ロシアのデフォルトは、主権を有する政府の債務にデフォルトリスクはないというMMTの立場に反するものだと信じている。ロシアの債務が、政府によって発行された通貨であるルーブル建てだったことは間違いない

レイ氏も含め「1998年」の「ロシアのデフォルト」はロシア政府が返済の意思を欠いていたために起きたと見なす場合が多いようです。なのでMMTの主張が誤りとは言えません。ただ「債務不履行の事例」に「自国通貨建て国債に関するもの」もあるはずです。

過去の債務不履行の事例は、いずれも、非自国通貨建て国債に関するもの」という説明は誤りと見て良いのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では読者からの間違い指摘を無視してミスを放置する対応が常態化しています。読者から購読料を得ているメディアとして責任ある行動を心掛けてください。


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※今回取り上げた記事「『狂信と平和ボケ』の財務省」https://facta.co.jp/article/202206010.html


※記事の評価はD(問題あり)

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