人工妊娠中絶擁護派の主張にはやはり説得力がない。11日の日本経済新聞夕刊総合面に高見浩輔記者が書いた「イエレン氏、中絶制限なら『経済に打撃』~公的支援の必要性指摘」という記事を読んで、そう感じた。
熊本港 |
中身を見ながら思うところを述べてみたい。
【日経の記事】
イエレン米財務長官は10日、上院銀行・住宅・都市問題委員会で、女性が中絶する権利を失った場合は「経済に大きなダメージをあたえかねない」と指摘した。権利を認めた1973年の判決を覆す草稿が米連邦最高裁から流出したことを踏まえ、議員の質問に答えた。
◎人命より経済?
「イエレン米財務長官」は「女性が中絶する権利を失った場合は『経済に大きなダメージをあたえかねない』と指摘した」らしい。だから「中絶する権利」は大事だということか。
特殊な事例を除き「中絶」は殺人と見なすべきだ。胎児の命を犠牲にしてでも「経済に大きなダメージ」がないようにすべきなのか。賛成できない。
続きを見ていく。
【日経の記事】
イエレン氏は中絶を合憲とした73年の「ロー対ウェイド」判決により「労働参加率が上昇した」と見解を示した。「女性が家庭とキャリアのバランスをとりながら計画を立てられるようになった」と述べ、合憲判決が覆った場合に望まない妊娠によって仕事を辞めなければならないケースが増えることに懸念を表明した。
10代の女性、特に低所得で黒人の女性が予期しない妊娠で生活に支障を来すことが多いという分析を示した。「女性が中絶という手段を使えないことで、貧困に陥ったり、公的支援を必要とする確率が高くなったりすることは明らか」と強調した。
◎それこそ公的支援の出番では?
「労働参加率」を引き上げたり「女性が家庭とキャリアのバランスをとりながら計画を立てられるように」することは胎児の命より大切なのか。胎児を殺してまで実現すべきことなのか。
「望まない妊娠によって仕事を辞めなければならないケースが増えることに懸念を表明した」らしいが米国では産休制度がないのか。ないか不十分なら、それこそ「公的支援」の出番ではないか。
「望まない妊娠」の場合、育児を放棄できる権利も確立させたい。「10代の女性、特に低所得で黒人の女性が予期しない妊娠で生活に支障を来すことが多い」のならば、そうした「女性」による育児放棄を認めて国が育てる仕組みを作ってもいい。
同じ人間でありながら「イエレン氏」が「まず胎児の命を守ろう」という発想にならないのが不思議だ。
さらに見ていく。
【日経の記事】
イエレン氏は具体的な数字を示さなかったが、労働市場を専門とするエコノミスト、ケイト・バーン氏の研究では「中絶に対する制限の厳しい州は、女性がより高収入の仕事に移る可能性が7.6%低い」という。
イエレン氏は「自分がこの世に生んだ子供が望まれていると感じ、子供を養うための経済的な余裕がある」ことが満足できる人生につながるとも話した。
最高裁はトランプ前大統領による指名の影響で保守派が多数を占めている。最高裁から流出した草稿を巡っては、バイデン大統領が合憲判決を覆すことに反対を表明している。
◎胎児の命を守ろう!
「イエレン氏は『自分がこの世に生んだ子供が望まれていると感じ、子供を養うための経済的な余裕がある』ことが満足できる人生につながるとも話した」らしい。胎児の命より母親の「満足できる人生」を優先ということか。
胎児は「殺さないで」と声を上げることはもちろん泣くことさえできない。だからまともな人権も認められずに命を奪われる。生まれてきた赤ちゃんを殺せば殺人ならば、胎児を殺すのも殺人だ。この2つを別物と見なすのは無理がある。
胎児の命を守りたい。胎児も人だ。
※今回取り上げた記事「イエレン氏、中絶制限なら『経済に打撃』~公的支援の必要性指摘」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220511&ng=DGKKZO60652890R10C22A5EAF000
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