ビジネスインサイダージャパンに3月8日付で載った「『男女平等は重要』にYESと言えない男性たち。賃金格差にも気づかぬ男性7割」という記事を書いた西山里緒記者は、基本的なところで認識を誤っているのではないか。「賃金格差にも気づかぬ男性7割」「リンクトイン・ジャパン」が発表した「仕事に対する意識調査(Opportunity Index)」を基に西山記者は「賃金格差にも気づかぬ男性7割」に関して以下のように書いている。
夕陽と鉄塔 |
【ビジネスインサイダーの記事】
他の質問でも、男女差が顕著に現れたものもあった。「自分の職業/仕事では、同じ立場の男性の給料は女性と比べて高い」と回答したのは、男性では30%だが女性は40%という結果に。
実際には、男女間の賃金格差は歴然と存在している。
厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、2018年時点で女性の賃金は男性の7割程度。この背景には、そもそも管理職に就く女性の割合が低いことや、女性の方が勤続年数が平均して短いことなどが挙げられている。
リンクトイン日本代表の村上臣さんは、こう語る。
「日本の男性は、男女の賃金格差にまだ気づいていないのでは。女性が今置かれている現状を、女性のみならず、男性も傾聴して、アライ(支援者)になっていくことが重要」
◎理屈が合わないが…
「自分の職業/仕事では、同じ立場の男性の給料は女性と比べて高い」との回答が男性では「30%」にとどまったことを根拠に「賃金格差にも気づかぬ男性7割」と見出しで打ち出したようだ。明らかに不適切だ。
「自分の職業/仕事では、同じ立場の男性の給料は女性と比べて高い」と回答した人が「賃金格差」に気付いている可能性が十分にあるからだ。「同じ立場」の給料に男女差がなくても「賃金格差」は生じる。
西山記者も「賃金格差」の背景を「管理職に就く女性の割合が低いことや、女性の方が勤続年数が平均して短いこと」と書いている。なのに、なぜこんな理屈に合わない説明をしてしまったのか。
「日本の男性は、男女の賃金格差にまだ気づいていないのでは」と「リンクトイン日本代表の村上臣さん」もコメントしている。「では」と付けているので断定ではないが、このコメントも問題ありだ。
「男女の賃金格差」があるのは広く知られている。それに「気づいていないのでは」と男性の認識不足を指摘するような発言をするのならば、相応の根拠は欲しい。
「賃金格差にも気づかぬ男性7割」と見出しに取られると、男性は愚かで認識不足との印象を受けるが、まともな根拠はゼロ。そのことに「気づかぬ」西山記者には猛省を促したい。
※今回取り上げた記事「『男女平等は重要』にYESと言えない男性たち。賃金格差にも気づかぬ男性7割」
https://www.businessinsider.jp/post-230877
※記事の評価はE(大いに問題あり)
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