肝心のことが書いてないと記事を読んだ後にモヤモヤした気持ちになる。12日の日本経済新聞夕刊総合面に載った「欧州の株式売買代金、アムステルダム首位~1月、ロンドンの地位低下」という記事はその典型だ。
吉丸一昌先生歌碑 |
篠崎健太記者が書いた記事の全文は以下の通り。
【日経の記事】
欧州の株式売買代金で1月、オランダのアムステルダムが英ロンドンを抜き、都市別で首位に立った。英国の欧州連合(EU)離脱の「移行期間」が2020年末で終わり、ユーロ建て株式の取引の大半が年明けからEU側に移ったためだ。欧州金融センターとしてのロンドンの地位低下が浮き彫りになった。
取引所大手のCBOEヨーロッパが11日までにまとめたデータによると、1月の株式の1日平均売買代金でアムステルダムは92億ユーロ(約1兆1700億円)となり、ロンドンの86億ユーロを上回った。20年12月は21億ユーロでロンドン、独フランクフルト、仏パリに次ぐ欧州4位だったが、4倍強に膨らみ首位へ急浮上した。ロンドンは20年12月の145億ユーロから41%減り、2位に陥落した。
英国はEU離脱によって単一の金融免許制度から外れた。移行期間が終わるまでにEUから規制水準が「同等」との認定を得られず、EUの投資家は在英の取引所やシステムでEU株の取引ができなくなった。このため電子取引システムを通じた売買がアムステルダムやパリなどへ移った。
◎他にも大事な情報が…
「20年12月は21億ユーロでロンドン、独フランクフルト、仏パリに次ぐ欧州4位だった」のであれば「ユーロ建て株式の取引の大半が年明けからEU側に移った」後で「ロンドン」に代わってトップに立つのは、本命が「フランクフルト」で対抗が「パリ」だろう。しかし「アムステルダム」が「4位」から「首位へ急浮上」している。
なぜ「アムステルダム」という疑問は当然に湧くが、篠崎記者は何も教えてくれない。「アムステルダム」には「ロンドン」から取引が移ってきやすい要因があったのではないか。「そこは分からない」という話ならば記事中でそう明示してほしい。
他にも入れるべき情報が抜けている。「アムステルダム」が「首位」となるのはいつ以来なのか(あるいは初なのか)。「ロンドン」が「首位」を明け渡すのはいつ以来なのか。それほど行数を要する訳でもない。他のところを削ってでも触れてほしかった。
※今回取り上げた記事「欧州の株式売買代金、アムステルダム首位~1月、ロンドンの地位低下」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210212&ng=DGKKZO69043850S1A210C2EAF000
※記事の評価はD(問題あり)。篠崎健太記者への評価はCを維持するが弱含みとする。篠崎記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
肝心の情報がない日経 篠崎健太記者「仏メディア、3社関係改善を期待」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/3.html
必須情報が抜けた日経「独決済ワイヤーカードに空売り規制」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_20.html
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