2020年10月9日金曜日

日経社説「『LIBOR』廃止への備えを万全に」はQUICKが手掛ける「TORF」の宣伝?

 9日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「『LIBOR』廃止への備えを万全に」という社説には臭いものを感じた。これは社説を使った日経グループの宣伝ではないのか。

大塚古墳公園(福岡県久留米市)
   ※写真と本文は無関係です

冒頭で「内外の金融・通貨取引で広く活用してきた国際金利指標が2021年末で廃止となる見通しだ。金利の受け払いができなくなるような混乱の回避へ、金融機関や事業会社は備えを急ぐ必要がある」と書いている。「廃止となる」のは1年2か月後でタイミングとしては中途半端だ。「金利の受け払いができなくなるような混乱の回避へ」と言われると大変な問題がありそうな気もするが「金利の受け払いができなくなるような混乱」が起きてもおかしくないと納得できる材料を社説では示していない。

では、なぜこのタイミングで社説が載ったのか。ヒントは以下のくだりにある。


【日経の社説】

課題は主に2つある。まず代替指標の開発と定着が国際的に急務だ。日本では近く新指標、東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF=トーフ)の参考値の日次公表が始まる。LIBORで露呈した脆弱性や恣意性を排除し、頑健性と安定性が問われる。


◎宣伝は社説以外でやった方が…

東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF=トーフ)の参考値の日次公表が始まる」のが9日で、社説が載った日と重なる。そしてこの「TORF」を算出・公表するのが日経グループに属するQUICKだ。

社説では「TORF」と日経グループの関係に全く触れていない。宣伝だと気付かれるのが嫌だったのだろう。だったら宣伝臭い社説を書かなければいいだけだ。

自社モノを大きく扱うのには反対だが、社説が宣伝臭くなるぐらいならば、宣伝だと明確に分かる“記事”として目立つところに載せればいい。

ついでに追加で注文を付けておく。

社説には「ところが、リーマン危機後の12年に大規模な不正操作が発覚し、指標としての信頼が失墜した」との記述がある。「12年」は確かに「リーマン危機後」ではあるが、かなり時間が経っている。この書き方をするならば「リーマン危機」と「不正操作」の関係を説明すべきだ。しかし何も言及していない。


※今回取り上げた社説「『LIBOR』廃止への備えを万全に」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201009&ng=DGKKZO64796490Y0A001C2EA1000


※社説の評価はD(問題あり)

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