FACTA11月号の「『誤魔化しの産物』大阪都構想」という記事は色々と問題を感じた。変換ミスはいいとしても、説明には矛盾があるし、不自然な日本語の使い方も気になる。記事も全体として説得力に欠けた。
沖端川(柳川市)※写真と本文は無関係 |
【FACTAへの問い合わせ】
FACTA編集人兼発行人 宮嶋巌様
11月号の「『誤魔化しの産物』大阪都構想」という記事についてお尋ねします。質問は3つです。
まず「市民が『料金が安い』と誇る水道事業も、かつて府との事業統合が検討された際、『市民に利点がない』として破断になった経緯がある」との記述についてです。文脈から考えて「破断」は「破談」の誤りではありませんか。
次は以下のくだりです。
「『大阪維新の会』が市民に配った冊子によると、『四つの特別区になっても今までの市役所はなくなりません』『新しくなることも変わらないこともある』と改革を主張しながら今までと何も変わらないことをメリットとして伝えているが、これでは虻蜂取らずだ」
「冊子」で「新しくなることも変わらないこともある」と記しているのならば「今までと何も変わらないことをメリットとして伝えている」とは言えません。「新しくなること」が「ある」のに「今までと何も変わらない」のですか。矛盾しています。「今までと何も変わらないことをメリットとして伝えている」との説明は誤りではありませんか(「冊子」に関する説明を間違えている可能性もあります)。
最後は結びの部分についてです。そこでは以下のように記しています。
「松井は『賛成しなければ任期終了次第、引退する』といったが、こんな空虚な構想に進退をかける政治家には一刻も早く辞表を出すことを勧めたい」
「賛成しなければ」とすると、日本語として不自然です。時事通信の記事によれば「政治家なので任期はしっかり務める。勝つために今やっているが、負けたらそこで僕自身の政治家としては終了だ」と松井氏は述べたそうです。これに倣うならば「賛成しなければ」は「負けたら」とすべきです。「賛成しなければ」との表現は不適切ではありませんか。仮に本人が「賛成しなければ」と実際に言ったとしても、そのまま記事に使うのは感心しません。
せっかくの機会なので、記事内容に関する意見も付記しておきます。
私は「大阪都構想」についてもよく知りません。なので中立の立場で記事を読みました。今回の記事では筆者が「大阪都構想」を否定したい気持ちはしっかり伝わってきますが、具体的な材料に乏しく説得力に欠けていました。例えば以下のくだりです。
「本誌が入手した市発行の協定書の説明書も『大阪市が直面している現状』にはいかにも問題が多いかのように描き、都構想を『意思決定がスピーディー』『身近なサービスに専念』とバラ色にしていた。だが、『全く逆。大阪市民にとってメリットはない』というのが、この構想を研究し尽くしたある識者の見方だ」
「都構想」を完全否定していますが、その根拠は「この構想を研究し尽くしたある識者」が「大阪市民にとってメリットはない」と見ているからというだけです。名前も出せない「ある識者」の「見方」だけでは何とも言えません。「全く逆」とする根拠を具体的に説明すべきでしょう。
記事では「橋下、松井、吉村の『都構想夢物語』が本当に実現するかどうかはまもなく決まる」などと書いているだけで、住民投票の結果予測はしていません。「大阪市民にとってメリットはない」のならば否決されそうなものですが、なぜか筆者はそう言い切りません。「メリットはない」のに過半数が賛成票を投じるほど「大阪市民」は愚かだと見ているのでしょうか。
「都構想」実現の可能性は十分ありと見た反対派の筆者が焦って強引に「都構想」を否定している--。今回の記事にはそんな印象を受けました。
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御誌は今号で「菅首相『一切説明なき暴走』」という記事を掲載しています。記事中の誤りに関して「説明」責任を果たさず「暴走」しているのは御誌の方です。まず自らの「暴走」を止めてみませんか。「菅首相」の「暴走」を諫めるのは、その後です。
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※今回取り上げた記事「『誤魔化しの産物』大阪都構想」
https://facta.co.jp/article/202011017.html
※記事の評価はD(問題あり)
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