2020年6月12日金曜日

スタートアップへの出資に関する日経の記事で気になること

スタートアップへの出資に関する記事を日本経済新聞で最近よく見かけるが、情報の少なさがどうも気になる。12日の朝刊企業1面に載った「住友商事、イスラエル新興に出資~まずAIソフト会社に」という記事では以下のように書いている。
大分県日田市を流れる三隈川(筑後川)
       ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

住友商事はイスラエルでコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を設立し、人工知能(AI)を使った位置情報解析ソフトを開発するアナゴグ社に出資した。イスラエルは起業が活発で年800社のスタートアップが設立されているとされる。住商はCVCを通じてAIや農業分野で新規事業の拡大を狙う。住商のCVCは日米や中国(香港)などに続き5カ国・地域となる。

アナゴグが1千万ドル(約11億円)を資金調達し、住商のCVCなど3社が出資した。アナゴグはスマートフォンのアプリに使う位置・行動情報ソフトを開発。全地球測位システム(GPS)やスマホの内蔵センサーなどから利用者の性別や年代、立ち寄った店などといった情報を分析する。


◎「出資した」のは分かるが…

住商のCVC」が「アナゴグ社に出資した」ことが記事の柱だ。しかし出資金額も出資比率も分からない。「アナゴグが1千万ドル(約11億円)を資金調達し、住商のCVCなど3社が出資した」とは書いている。しかし「住商のCVC」に限った出資額は不明だ。

そして記事の約半分を「アナゴグ社」の事業内容の説明に費やしている。それは「出資」に関してしっかり情報を伝えてからにしてほしい。「住商」が出資額も出資比率も明らかにしたくないと言っているのならば、そもそも記事として取り上げる必要があるのかと感じる。

11日の朝刊企業1面に載った「損保ジャパン、廃棄物リサイクル参入~新興に出資」という記事でも「廃棄物から電力や熱を生み出す技術を持つスタートアップ企業に出資し、業務提携した」「損保ジャパンが出資したのは再生可能エネルギーの発電設備などを手掛けるサステイナブルエネルギー開発(仙台市)だ」と書いてあるだけで、出資金額などには触れていない。

出資」が記事の柱ではないが、出資金額ぐらいは触れてほしい。分からない場合は、その点を明示すべきだろう。


※今回取り上げた記事

住友商事、イスラエル新興に出資~まずAIソフト会社に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200612&ng=DGKKZO60271250R10C20A6TJ1000


損保ジャパン、廃棄物リサイクル参入~新興に出資
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200611&ng=DGKKZO60116380Y0A600C2TJ1000


※記事の評価はいずれもD(問題あり)

0 件のコメント:

コメントを投稿