浮羽稲荷神社(福岡県うきは市)※写真と本文は無関係 |
【エコノミストの記事】
今年は第二次大戦終結から75年、3四半世紀の節目の年だ。何千年の世界史を振り返り、これほど長年にわたり世界規模での戦争がなかった時期は珍しい。それほど、我々は平和の時代を謳歌(おうか)してきた。太平の眠りを覚ます号砲が「第三次世界大戦」とも言えるコロナショックだ。
今回、世界は見えない敵との第三次世界大戦にあるが、今日のG7(主要7カ国)諸国のリーダーは最年長のトランプ大統領、また日本の安倍晋三首相を含め全員が第二次大戦後生まれ、「戦争を知らない子供たち」の世代だ。
◇ ◇ ◇
次に、4月24日付の日本経済新聞朝刊に載った「大機小機~『コロナ戦争後』 見えぬ秩序」という記事を見てみる。
【日経の記事】
今年2020年は1945年の第2次世界大戦終了から75年、3四半世紀の節目を迎える年だ。人類の歴史を振り返れば、3四半世紀にわたり世界規模での戦争がない平和な時代は例がなかったのではないか。それは、20世紀前半に第1次・第2次世界大戦と2回も世界が戦場になったなかの反省だった。
軍事的発想を世界規模で失いかけていたなか、今回、「コロナ戦争」という「見えざる敵」に対する世界規模での戦い、勝者なき「第3次世界大戦」が勃発した。戦後3四半世紀の太平の眠りを覚ます歴史的事件で、「戦争を知らない子供たち」が戦時体制の不条理を疑似体験している。
◎酷似しているが…
非常に似ている。「大機小機」の筆者は「玄波」氏となっている。この人物が高田創氏である可能性は高い。もし別人物ならば、高田氏が書いたエコノミストの記事は「大機小機」のパクリと言われても仕方がない。
記事で似ているのは上記のくだりだけではない。「歴史を振り返れば、1930年代の世界大恐慌が生じたなかで最も早く立ち直りを示したのは、全体主義で戦時経済体制を築いた当時のソ連とナチスドイツであったとされる」(エコノミスト)、「歴史を振り返れば、世界大恐慌が生じた1930年代の危機時、その状況から最も早く立ち上がったのは全体主義国家のソ連とナチスドイツとされる」(日経)といった具合だ。偶然とは考えにくい。
筆者が同一人物の場合、これだけ似た内容の記事を載せるのは感心しない。書き手としてのモラルの低さを感じる。一方、「大機小機」の内容を参考にしてエコノミストの記事を書いたのだとしたら論外だ。
さらに言うと、「玄波」氏が書いた「大機小機」には以前の投稿で誤りを指摘している。その内容を改めて載せておきたい。
◎19世紀までは…
「人類の歴史を振り返れば」数百万年に及ぶだろう。そのほとんどの期間で「世界規模での戦争」はなかったはずだ。第1次世界大戦が人類初の「世界規模での戦争」だと思える。
「世界規模での戦争がない」という条件を満たせば「平和な時代」だと言えるのならば、19世紀まで人類はずっと「平和な時代」を生きてきたのではないか。
「軍事的発想を世界規模で失いかけていた」という見方にも同意できない。「世界規模での戦争がない」からと言って、軍事衝突がなくなった訳ではない。イラク戦争などで21世紀に入っても様々な軍事行動を続けてきた米国は「軍事的発想」を「失いかけていた」のか。シリア内戦を経験した子供たちは「戦争を知らない子供たち」なのか。答えは明らかだ。
新型コロナウイルスの問題を「第3次世界大戦」と呼ぶなとは言わない。だが、今回の記事では危機の煽り方に無理があると感じた。
※今回取り上げた記事
「戦時体制~市場・金融政策万能の見直し 政府機能拡大と資本主義の行方」
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200602/se1/00m/020/051000c
「大機小機~『コロナ戦争後』 見えぬ秩序」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200424&ng=DGKKZO58426680T20C20A4EN2000
※「大機小機~『コロナ戦争後』 見えぬ秩序」については以下の投稿で触れている。
「世界規模での戦争」が75年ないのは人類史上初? 日経「大機小機」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/04/75.html
※エコノミストの記事の評価はD(問題あり)。高田創氏への評価も暫定でDとする。
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