2020年4月5日日曜日

「国債」は「安全資産」にあらず? 日経1面「チャートは語る」

5日の日本経済新聞朝刊1面に載った「チャートは語る金融市場 解けぬ緊張~社債や新興国通貨、再度の急落警戒」という記事はあまり意味がないと感じた。記事では「恐怖指数」「通貨OP」「国債」「社債」「安全資産」に関して「市場ストレスマップ」を載せているが「恐怖指数」の推移を見れば市場の緊張度はほぼ分かる気がする。「恐怖指数」では「社債や新興国通貨」の緊張度は分からないものの、新型コロナウイルスに関して株式市場の緊張度と「金融市場」全体の緊張度に大きな差が生じる局面は考えにくい。
筑後川と菜の花(福岡県久留米市)※写真と本文は無関係

さらに気になったのが「安全資産」の分類だ。記事では「安全資産」として「ドル指数(ドルの実効レート)」「ドル・円」「ドル・スイス」の3つを挙げている。「ドル指数」はともかく「ドル・円」「ドル・スイス」が「安全資産」というのは理解に苦しむ。「ドル・円」相場の変動で利益を得ようとすればリスクは小さくない。それでも「安全資産」なのか。

そもそも代表的な「安全資産」と言えば「国債」だ。なのに今回の「市場ストレスマップ」では「国債」と「安全資産」を別物として扱っている。これだと「国債安全資産」と誤解を与えてしまう。

最後に用語の説明に関して指摘したい。

【日経の記事】

社債は、日米欧それぞれの企業が発行する社債の破綻(デフォルト)確率を取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれる指数を使って色の濃淡を描いている。3月18~24日にかけて色が最も濃くなった。



◎CDSは「指数」?

上記の説明だと「CDS」は「社債の破綻(デフォルト)確率を取引」していると取れる。「破綻確率」は「CDS」の保証料率に影響を与えるが「確率」そのものを「取引」している訳ではない。

また「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)と呼ばれる指数」と書くと「CDS」が「指数」の名称になってしまう。言うまでもなく金融派生商品の名前だ。

破綻(デフォルト)」という説明も引っかかる。「債務不履行(デフォルト)」とすべきだ。


※今回取り上げた記事「チャートは語る金融市場 解けぬ緊張~社債や新興国通貨、再度の急落警戒
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200405&ng=DGKKZO57658440T00C20A4MM8000



※記事の評価はD(問題あり)。黄田和宏記者と富田美緒記者への評価もDを据え置く。富田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

トリプルB格も「低格付け債」? 日経 富田美緒記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_13.html

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