福岡県立福岡高校(福岡市)※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
世界的な疫病の流行を示す「パンデミック」。米ムーディーズ・アナリティクスのチーフ・エコノミスト、マーク・ザンディ氏は「パンデミックになる可能性が40%に高まった」とみる。従来予想の25%から引き上げ、パンデミックに陥ると世界および米国経済は2020年上期に景気後退になると予想する。
◎「パンデミック」の基準は?
「パンデミックになる可能性が40%に高まった」という見方を紹介しているが「パンデミック」かどうかを判定する基準に触れていない。これでは「予想」の意味がない。基準次第では既に「パンデミック」に陥ったとも言える。
言葉の使い方にも注文を付けておきたい。
【日経の記事】
マリオット・インターナショナルのアーン・ソレンソン最高経営責任者(CEO)は27日、「2月は中国圏のホテルの客室あたり売上高が前年同月比9割減った」と明かした。自己資本比率は3%足らずしかない。需要の落ち込みが直撃し、CDS保証料率(債務不履行に備えた保険料)は27日に0.65%と約1年ぶりの水準まで上昇した。
◎CDSは「保険」?
CDSは「保険」に似ているが「保険」ではない。なので「CDS保証料率(債務不履行に備えた保険料)」という説明は不正確だ。「CDS保証料率」と書いているのだからカッコの中も「債務不履行に備えた保証料率)」でいい。
付け加えると「マリオット・インターナショナル」にとって「中国圏」への依存度がどの程度なのかは入れたい。
記事の結論部分も問題なしとしない。
【日経の記事】
どこかで新型コロナの感染拡大が収束してくれば、経済活動も正常化に向かう。抑え込まれていた需要も合わせて戻ることを考えれば、回復力も強さを伴うだろう。ただ、封じ込めに手間取るほど、景況感悪化の足音が後ろから高まってくる、そんな局面に入っている。
◎まだ「景況感悪化」に至ってない?
「封じ込めに手間取るほど、景況感悪化の足音が後ろから高まってくる」と書くと、まだ「景況感悪化」には至っていないとの印象を受ける。しかし「景況感悪化」は明らかだ。
「封じ込めに手間取るほど、景況感悪化に拍車がかかる」ならば違和感はない。「封じ込めに手間取るほど、世界的な景気後退の足音が後ろから高まってくる」などとする手もある。
最後に記事に付けたグラフの問題点も指摘しておく。「中国との関係の深い国・地域で株価下落が目立つ」とのタイトルが付いており、下落率は大きい方からタイ、インドネシア、ロシア、ベトナム、ブラジル、香港、米国、韓国、日本、中国、イタリア、ドイツとなっている。
タイトル通りならば下落率の1位と2位は中国と香港になるのが自然だ。しかし、中国に至っては下から3番目。香港もこの中では中位でブラジルより下だ。「中国との関係の深い国・地域で株価下落が目立つ」との説明に説得力はない。
※今回取り上げた記事「日米欧、時価総額1割減~コロナ・ショック世界揺らす 日経平均、週間2000円超下落」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200229&ng=DGKKZO56210200Y0A220C2MM8000
※記事の評価はD(問題あり)。藤田和明編集委員と富田美緒記者への評価はDを据え置く。長谷川雄大記者への評価は暫定でDとする。
※富田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
トリプルB格も「低格付け債」? 日経 富田美緒記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/01/blog-post_13.html
※藤田編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「FANG」は3社? 日経 藤田和明編集委員「一目均衡」の説明不足
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/fang.html
改善は見られるが…日経 藤田和明編集委員の「一目均衡」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_2.html
「中国株は日本の01年」に無理がある日経 藤田和明編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/01.html
「カラー取引」の説明不足に見える日経 藤田和明編集委員の限界
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_37.html
東証は「4市場」のみ? 日経 藤田和明編集委員「ニッキィの大疑問」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_28.html
合格点には遠い日経 藤田和明編集委員の「スクランブル」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_10.html
説明に無理がある日経 藤田和明編集委員「一目均衡~次世代に資本のバトンを」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_28.html
新型肺炎が「ブラックスワン」に? 日経 藤田和明編集委員の苦しい解説
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html
0 件のコメント:
コメントを投稿