2019年10月12日土曜日

高島屋の発表内容を端折り過ぎた日経「ネット・人口減 小売り苦境」

12日の日本経済新聞朝刊総合2面に載った「ネット・人口減 小売り苦境 3~8月期 2半期連続減益~高島屋も店舗閉鎖」という記事には、かなり不満を感じた。話の柱は「消費関連企業」の「3~8月期」業績まとめだ。その中に「高島屋も店舗閉鎖」というニュースを吸収しているので「高島屋」の発表内容を不十分にしか伝えていない。
グラバー園(長崎市)※写真と本文は無関係

「吸収するな」とは言わない。吸収するなら、「高島屋」に関する情報をしっかり盛り込むべきだ。小売り全体の動向をあれこれ論じるのは、それができてからだ。

記事の前半を見てみよう。

【日経の記事】

小売りなど消費関連企業の収益力が低下している。2019年3~8月期決算は最終的なもうけを示す純利益が前年同期比ベースで2半期連続で減った。インターネット通販の普及など消費形態の変化に加えて、人口減や人手不足という構造要因が稼ぐ力の低下につながっている。百貨店など人員3千人の削減を発表したセブン&アイ・ホールディングスに続き、高島屋は11日、港南台店(横浜市)などの閉鎖を発表した。生き残りに向けて構造改革が本格化している。

「地方店、郊外店の状況は厳しい」。11日の決算会見で高島屋の村田善郎社長は率直に認めた。

同社は港南台店などの閉鎖のほか、鳥取県米子市にある子会社の米子高島屋の全株式の地元企業への譲渡を決めた。百貨店はネット通販との競合が激しく、特に地方店は人口減と高齢化が直撃する。高島屋は3~8月期決算の発表にあわせて2020年2月期の業績予想を下方修正した。今期の連結純利益は期初予想から30億円低い170億円となる見通しだ

小売業界では10日にセブン&アイが大規模な閉店や人員削減などのリストラに乗り出すことを決めたばかり。国内外のコンビニエンスストアが伸び、3~8月期の純利益は過去最高だったが、将来に向けた危機感は強い。「選択と集中をより推進する」(井阪隆一社長)と大規模なリストラを決めた。

日本経済新聞社が11日までに決算を発表した小売り・外食、衣料品など主な消費関連企業65社の業績を集計したところ、純利益は前年同期に比べ3%減の4057億円だった。18年9月~19年2月期に続き2半期連続で前年同期に比べて利益を減らした。



◎色々と足りない点が…

高島屋」に関する記述は紙面上では20行程度。ベタ記事並みの短さだ。その中で「港南台店(横浜市)などの閉鎖」と「業績予想」を伝えているのだから、情報が不十分になるのは当然だ。

まず「港南台店などの閉鎖」と書いているだけで「タカシマヤスタイルメゾン」に触れていない。「閉鎖」は2カ所だけなのだから、両方の店舗名は入れたい。

閉鎖」がいつか分からないのも致命的だ。発表資料によると「港南台店」が2020年8月16日、「タカシマヤスタイルメゾン」が同年2月16 日。これを抜いて記事を作れるのが悪い意味で凄い。「閉鎖」が業績に与える影響や、当該店舗の従業員の処遇などもできれば欲しい。

米子高島屋」に関する説明も物足りない。「高島屋」の名前を使って営業を続けるのかどうかは入れたいところだ。発表資料によると「(来年)3月以降、米子髙島屋は屋号をJU米子髙島屋(仮称)として営業継続する予定」だという。

業績予想」に関しても「今期の連結純利益は期初予想から30億円低い170億円となる見通しだ」と書いているだけで、その要因は教えてくれない。

色々と足りない情報があるのに、記事は「小売業界では~」と「高島屋」の話から離れてしまう。これは辛い。書いた記者の責任と言うより、デスク(あるいはもっと上の人間)の紙面設計に問題があると見るべきだ。


※今回取り上げた記事「ネット・人口減 小売り苦境 3~8月期 2半期連続減益~高島屋も店舗閉鎖
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191012&ng=DGKKZO50897790R11C19A0EA2000


※記事の評価はD(問題あり)

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