瑞鳳殿(仙台市)※写真と本文は無関係です |
初報となる「大阪のセブン加盟店オーナー、日曜休業を通告」という22日付の記事では「コンビニエンスストア『セブン―イレブン』で2月から短縮営業している大阪府東大阪市のオーナーが、フランチャイズチェーン(FC)本部に対して9月から日曜日を休業すると通告したことがわかった。人手不足が理由としている」と書いているだけで、オーナー側のコメントはない。一方、本部側の「対応を検討する」というコメントはある。
さらに24日の朝刊企業面に「セブン、『日曜休業なら契約解除』 大阪で時短の加盟店に」という記事が載っている。これは全文を見てみよう。
【日経の記事】
セブン―イレブン・ジャパンは23日、時短営業を実施している大阪府東大阪市の加盟店オーナーが日曜日を定休日にする方針を示した問題で、休業に踏み切った時点で加盟店契約を解除すると文書で伝えた。加盟店で定休日の実施は認められておらず、同社は「明確な契約違反に当たる」と説明している。
文書は永松文彦社長名で出した。セブンの加盟店契約では年中無休の営業が原則だが、オーナーは9月から日曜日に休業すると通告していた。同オーナーは2月から本部と合意の無いまま営業時間を短縮して店舗を運営し、コンビニの24時間営業問題が表面化した。
時短営業はセブン本部と加盟店で合意すれば認められており、セブン側は7月、オーナーに24時間営業をしない契約に切り替えるよう打診した経緯がある。今回の問題を巡ってはセブン側はオーナーに休業しないよう協議を続ける方針だ。
◎オーナーに取材してない?
記事の内容から言って「休業に踏み切った時点で加盟店契約を解除すると文書で伝えた」ことに対するオーナーの反応は欲しいところだ。しかし全く触れていない。
オーナーが取材に応じないのならば、その旨を明記すればいい。しかし、取材拒否とは考えにくい。他のメディアにはコメントが出ているからだ。時事通信の「大阪セブン店『日曜定休』=9月実施通告、本部と協議」という記事では以下のように書いている。
【時事通信の記事】
加盟店の松本実敏オーナーは取材に対し、日曜定休を決めたのは人手不足が理由と説明。協議は、東大阪市の店舗で行われ、セブン側は日曜定休を実施すれば契約解除の対象になるとし、営業継続のための人員派遣を提案した。
これに対し松本氏は「1~2日だけの派遣では意味がない」と主張。「オーナーの権限で営業時間の短縮や定休実施ができるようになれば、(オーナーや従業員の)命が救われる」と訴えた。
◇ ◇ ◇
これを読むと、かなりオーナー側の考え方が理解できる。東京新聞の「『日曜定休なら契約解除』 セブン、時短店に書面回答」という記事も見ておこう。
【東京新聞の記事】
このオーナーは人手不足から自主的に二十四時間営業を短縮したセブン-イレブン東大阪南上小阪店(大阪府東大阪市)の松本実敏(みとし)さん(57)。二十二日、日曜日を定休日にすると本部に通告した。本部は二十三日、永松文彦社長名の書面で「深夜時間帯以外の休業を行った時点をもって貴殿との加盟店契約を解除します」と回答した。契約を解除されれば松本さんはセブンオーナーとして営業できなくなる。
本部は年中無休が大前提で、定休日を設けるのは明確な契約違反だ」(広報担当者)としながらも、松本さんと協議を続ける意向を示した。松本さんは「セブン側からの歩み寄りがあれば九月からの定休日導入は考え直す」と話した。
◇ ◇ ◇
これもやはりオーナー側の考えをしっかり伝えている。なぜ日経だけがこうも素っ気ないのか。
今回、本部側は東大阪のオーナーに厳しく当たる方針を決めたのではないか。それを知った日経はオーナーを見限って本部寄りの報道をした方が、これからネタをもらう上で得策と考えた--。そんな判断が働いたのではと不安を感じる。
本部寄りの報道が絶対にダメだとは言わない。しかし問題を報じる上では、双方の主張をしっかりと伝えてほしい。そこを崩してまで本部寄りで行く場合、許容範囲の外に出てしまう。そうならないといいのだが…。
※今回取り上げた日経の記事「セブン、『日曜休業なら契約解除』 大阪で時短の加盟店に」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190824&ng=DGKKZO48942280T20C19A8TJC000
※記事の評価はC(平均的)。
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