2019年7月21日日曜日

ニュース価値ある? 日経「ローソン、外国籍バイト接客向上」

「ニュース記事の書き方が全く分かっていないのかな」と思える記事が21日の日本経済新聞朝刊総合5面に載っていた。「ローソン、外国籍バイト接客向上~都内で研修」という記事の全文を見た上で問題点を指摘したい。
長崎港(長崎市)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

ローソンは20日、都内で外国籍アルバイト従業員の受け答えといった接客する力を高める研修をした。従業員と店舗オーナーらが対象。コンビニエンスストアでは人手不足が深刻になるなか外国人従業員の存在感が増しており、教育体制の強化が課題になっている。

ローソンでは外国籍のアルバイト従業員が約1万3千人と全体のおよそ6.8%を占める。東京23区内に限れば約40%に上るという。

同社はオーナーらにはわかりやすい日本語での指示の仕方のほか、法定の時間を超えて勤務させないといった法律上の注意点を伝えた。参加したインドからの留学生、バラドワジュ・スワンシュさんは「敬語の発音の仕方が勉強になった」と話した。

ローソン10店を経営する元川寛都さんは「日本人のアルバイトは集まりにくく、外国籍の人を戦力に育てないといけない」と真剣な面持ちだった。


◎何が「ニュース」?

ニュース記事を書く時には「何がニュースなのか」をしっかり考える必要がある。上記の記事は見出し3段の写真付き。扱いはそこそこ大きい。しかし、どこに目新しさがあるのか分からない。

例えば「外国籍アルバイト従業員」向けの「研修」を「コンビニエンスストア」として初めてやったという話ならば、ニュースとしての価値を感じる。「ローソン」として初めてでも3段見出しならば問題ない。しかし、記事にはそうした情報が全くない。

従業員と店舗オーナーらが対象」とは書いているが、対象地域は「都内」かどうかも判然としない。研修に参加した人数も不明だ。

そうしたことをしっかり書き込んだ上で、余裕があれば「ローソン10店を経営する元川寛都さんは『日本人のアルバイトは集まりにくく、外国籍の人を戦力に育てないといけない』と真剣な面持ちだった」といった話を盛り込んでもいい。肝心な情報が抜けたままで、この手のコメントを差し込むのはダメだ。

この記事は「ローソン」にとってありがたい内容かもしれない。しかし日経にカネを払っている普通の読者にとっては、紙面の無駄使いと言える中身だ。

記事を書いた記者が若手であれば、ニュース記事を書く上での基礎的な技術が身に付いていないくてもまだ許せる。問題は企業報道部の担当デスクだ。この記事をそのまま載せてよいと思えたのならば、デスクとしては絶望的だ。そういう人物が指導的立場にいて記事のチェックをしていると考えると恐ろしい。


※今回取り上げた記事「ローソン、外国籍バイト接客向上~都内で研修
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190721&ng=DGKKZO47589320Q9A720C1EA5000


※記事の評価はD(問題あり)。

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