2019年5月30日木曜日

日経「話題の株~すかいらーくHD 既存店好調、高値圏に」の無理筋

29日の日本経済新聞夕刊マーケット・投資面に載った「話題の株~すかいらーくHD 既存店好調、高値圏に 米中懸念で内需株に資金」という記事の内容には無理がある。筆者の見立ては間違っている可能性が非常に高い。
別府海浜砂場(大分県別府市)※写真と本文は無関係です

記事の全文を見た上で具体的に指摘したい。

【日経の記事】

28日の東京株式市場で、すかいらーくホールディングスの株価が一時、前日比34円(2%)高の2006円と、年初来高値をつけた。2019年1~3月期の既存店の売上高が順調な伸びを示したことを投資家が好感。米中貿易摩擦の影響を受けにくいとの評価も買い意欲につながっている。

売買高は2倍強に膨らみ、終値は11円(1%)高の1983円。15日の取引終了後に決算を発表して以降、株価は高値圏にある

19年1~3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比3%減の27億円。人件費上昇や株主優待の費用増を織り込んだ19年12月期通期の純利益見通し(110億円)に対する進捗率は約25%で、市場では「堅調な滑り出し」(国内証券)との声が多い。

特に既存店は客単価、客数とも前年同期を上回り、3%近い増収だった。期間限定メニューの販売が伸びたほか、SNS(交流サイト)を使った情報発信も奏功した。北村淳最高財務責任者(CFO)は「効果的な営業施策を展開できている」と手応えを話す。

業績以外に材料視されているのが米中貿易摩擦の影響。ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役は「中国依存度が高い外需株から、資金の移し先として安定した収益が見込める内需株が受け皿となっている」とみる。

5月中旬発表の4月の既存店売上高は1.2%増。「この勢いが続けば一段高も期待できる」(いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員)との一方で、予想PER(株価収益率)が35倍台と割安感にはやや乏しいことから、先行きに慎重な見方もあった。


◎時期が離れすぎでは?

記事では「すかいらーくホールディングスの株価が一時、前日比34円(2%)高の2006円と、年初来高値をつけた」理由を「1~3月期の既存店の売上高が順調な伸びを示したこと」に求めている。「1~3月期の既存店の売上高」が明らかになったのが5月の「28日」やその前日ならば分かる。しかし3月の既存店売上高の動向を「すかいらーく」が公表したのは4月8日。それを材料に5月「28日」の株価が動くとは思えない。

「(5月)15日の取引終了後に決算を発表して以降、株価は高値圏にある」とも記事では書いている。「1~3月期の既存店」が「3%近い増収」になったのは4月8日に分かっている。なので5月16日以降の株価上昇に関しても「1~3月期の既存店の売上高が順調な伸びを示したこと」に理由を求めるのは苦しい。

しかも「4月の既存店売上高は1.2%増」と「5月中旬」に発表になっている。「4月」の既存店の数字が出てしばらくしてから、改めて「1~3月」の数字が株価を動かす材料になるのか。株式市場に関するある程度の知識があれば分かるだろう。

記事を書いたのは経験の浅い記者かもしれない。しかし証券部のデスクがチェックしているはずだ。なのにこの出来では経済紙としては辛い。


※今回取り上げた記事「話題の株~すかいらーくHD 既存店好調、高値圏に 米中懸念で内需株に資金
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190529&ng=DGKKZO45404800Z20C19A5ENI000


※記事の評価はE(大いに問題あり)

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