伐株山園地(大分県玖珠町)※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
素材大手企業が「CASE」と呼ばれる自動車の次世代技術に対応した素材生産で大型投資に乗り出す。古河電気工業はベトナムの工場に投資して、軽量化に役立つアルミニウムを使う電線の生産能力を4倍に増やす。日本製鉄は軸受けなどに使う特殊鋼に2019年度からの3年ほどで約500億円を投資する。軽さや強度が求められる素材に重点投資する。
古河電工は複数の電線を束ねた「ワイヤハーネス」を増産する。ベトナムのホーチミン市の工場に約35億円を投資し、アルミ電線専用の建屋を20年9月に稼働させる。制御機器など自動車の動力を支える中核部品で、電動化や自動運転技術で車1台あたりに使う電線は増えるため、軽量化が求められる。現在主流の銅素材に比べアルミ電線は3分の1程度の重さだ。
古河電工は自動車用電線に占めるアルミの比率を今後2年で1割から4割に引き上げる計画だ。
日本製鉄は3月に子会社化した山陽特殊製鋼に約500億円を投資し、同社の兵庫県姫路市の本社工場の設備を刷新する。山陽鋼は軸受け用の特殊鋼で世界大手の一角で、同業のオバコ(スウェーデン)も傘下に抱える。電気自動車(EV)の軸受けにはモーターの駆動などに耐えるために小型・高強度の製品が必要になる。次世代の車用鋼材の研究開発も加速する。
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気になった点を列挙してみる。
(1)2社だけ?
最近の日経が得意とする2社での傾向モノだ。2社では辛い。しかも「古河電気工業」は「ワイヤハーネス」で、「日本製鉄」は「軸受け用の特殊鋼」と関連は薄い。それを「自動車の次世代技術に対応した素材生産」として強引にまとめている。
(2)「35億円」で「大型投資」?
「自動車の次世代技術に対応した素材生産で大型投資に乗り出す」と書いているのに、最初に持ってきた「古河電気工業」の投資額はわずか「35億円」。この額で「大型投資」と言われても困る。
(3)具体的な「生産能力」は?
「アルミニウムを使う電線の生産能力を4倍に増やす」と言うものの、「生産能力」がどの程度の規模なのか具体的な数値はない。年産1トンを4トンに増やすのと年産1万トンを4万トンに増やすのでは話が全く違ってくる。そこは考えて記事を書いてほしい。
(4)「刷新」の中身は?
「日本製鉄は3月に子会社化した山陽特殊製鋼に約500億円を投資し、同社の兵庫県姫路市の本社工場の設備を刷新する」と書いているが「刷新」の具体的な内容は分からない。「小型・高強度の製品」に対応した「設備」を導入するのだとしたら、そこは明記してほしい。
単に古くなった「設備を刷新する」だけならば「自動車の次世代技術に対応した素材生産で大型投資に乗り出す」例としては苦しい。「軸受けなどに使う特殊鋼」を造るのならば「電気自動車(EV)」以外にも幅広く使える「素材」のはずだ。
連休も終わったので、この手のレベルが低いまとめ物を1面に持ってくるのはやめてほしい。
※今回取り上げた記事「次世代車、素材大手が投資~軽さ・高強度に対応 日本製鉄、3年で500億円/古河電工、電線生産4倍」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190506&ng=DGKKZO44442030V00C19A5MM8000
※記事の評価はD(問題あり)。
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