2019年5月21日火曜日

「絶対破れない靴下」と誤解した日経 中村直文編集委員を使うなら…

17日の日本経済新聞朝刊企業3面に載った「ヒットのクスリ~工場発の汚れないパンツ 究極エコ『捨てない』を形に」という記事で「同社(ライフスタイルアクセント)は他にも絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」と中村直文編集委員が書いた問題をさらに考えてみたい。
グラバー園の旧リンガー住宅(長崎市)
          ※写真と本文は無関係です

この件で問い合わせを送っても日経は相変わらずの無視だが、ライフスタイルアクセントからは回答を得た。まずは問い合わせと回答の内容を紹介したい。

【ライフスタイルアクセントへの問い合わせ】

5月17日付の日本経済新聞朝刊に載った「ヒットのクスリ」という記事に「同社(ライフスタイルアクセント)は他にも絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」との記述があります。これに関する質問です。

(1)本当に「絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」のでしょうか。サイトでは確認できませんでした。

(2)扱っている場合、虚偽の表示であり違法となるのではありませんか。あるいは本当に「絶対破れない」のでしょうか。常識的にはあり得ないと思えます。

(3)記事の筆者である日経の中村直文編集委員からの取材に対して「絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」旨の説明をしたのでしょうか。していないとすれば、なぜあのような記事が出たのでしょうか。仮に取材で「絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」と言っていないのに誤った情報が記事に載ったのならば、訂正を求めるなどの抗議の予定はあるのでしょうか。

質問は以上です。御社には何の落ち度もないのかもしれませんが、気になったので問い合わせを送らせていただきました。回答を頂ければ幸いです。


【ライフスタイルアクセントからの回答】

いつもファクトリエをご愛顧いただきありがとうございます。また、日本経済新聞の記事にて弊社をご覧いただきありがとうございました。

ご質問いただきました件につきまして、下記にてご覧頂ければ幸いです。

(1)本当に「絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」のでしょうか。サイトでは確認できませんでした。

→該当の商品は、グレンクライドの永久交換保証ソックスシリーズとなります。表記として「絶対に破れない」は商品でうたっておりませんので、見つからなかったのかと存じます。


(2)扱っている場合、虚偽の表示であり違法となるのではありませんか。あるいは本当に「絶対破れない」のでしょうか。常識的にはあり得ないと思えます。

→商品名として絶対に破れない、というのではなく、絶対に破れないほど言えるほと破れないというご説明でございます。また1でお答え致しましたように、絶対に破れない、と確定してうたっておりませんので、虚偽の表示には当たらないことともいます。
https://factelier.com/products/detail.php?product_id=12696


(3)「絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」の説明の有無について

→「絶対に破れない」というテーマのもと作られたソックスである旨、ご説明しております。加えて、こちらの永久交換保証が、破れないからこそ工場がサービスをご提供できた、というご説明でございます。

日経新聞様には限られた紙面スペースの中で、工場の想いの伝わる記事にしていただいたと考えており、今後も抗議の予定はございません。

もし、今回の回答で不明点がございましたら、ご連絡いただければ幸いです。

ひとまずご返信とさせていただきます。今後もファクトリエをよろしくお願いいたします。

◇   ◇   ◇

日経からは回答がないので、事実関係はライフスタイルアクセントの説明通りとの前提でこの問題を考えてみたい。
東京駅(東京都千代田区)※写真と本文は無関係です

取材時に「『絶対に破れない』というテーマのもと作られたソックスである」との説明を受けた中村編集委員は記事に「絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」と書いてしまった。相手の言っていることを正しく理解できなかったのか、理解していたのに正確に書けなかったのかのどちらかだ。いずれにしても初歩的なミスと言える。

仮に「絶対に破れない靴下なんですよ」と取材相手がアピールしてきても「本当かな。常識的にはあり得ないけど…」と疑えなければ経済記事の書き手としては辛い。ベテランの域に達してもそうした意識を持てないのならば、今後も改善は見込めないだろう。

さらに問題なのは、「絶対破れない1足2000円の靴下を扱っている」と中村編集委員が書いてきた時に、誰も止められずにそのまま読者に届けてしまったことだ。企業報道部のデスクは何も疑問に思わなかったのか。整理部でも記事審査部でもいい。問題を指摘してあげる人は編集局にいなかったのか。あるいは指摘を生かせなかったのか。

いずれにしても、日経のメディアとしての実力のなさを示す結果となっている。中村編集委員の書き手としての能力に問題があるのは疑いようがない。今後も記事を書かせるのならば、周囲の十分な支援が不可欠だ。井口哲也編集局長を含め編集局の幹部はそこをしっかりと考えてほしい。


※今回取り上げた記事「ヒットのクスリ~工場発の汚れないパンツ 究極エコ『捨てない』を形に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190517&ng=DGKKZO44688360R10C19A5TJ3000


※中村直文編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

無理を重ねすぎ? 日経 中村直文編集委員「経営の視点」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2015/11/blog-post_93.html

「七顧の礼」と言える? 日経 中村直文編集委員に感じる不安
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_30.html

スタートトゥデイの分析が雑な日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_26.html

「吉野家カフェ」の分析が甘い日経 中村直文編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/07/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」が苦しすぎる
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_3.html

「真央ちゃん企業」の括りが強引な日経 中村直文編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_33.html

キリンの「破壊」が見えない日経 中村直文編集委員「経営の視点」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/12/blog-post_31.html

分析力の低さ感じる日経 中村直文編集委員「ヒットのクスリ」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/01/blog-post_18.html

「逃げ」が残念な日経 中村直文編集委員「コンビニ、脱24時間の幸運」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/24.html

「ヒットのクスリ」単純ミスへの対応を日経 中村直文編集委員に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_27.html

日経 中村直文編集委員は「絶対破れない靴下」があると信じた?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_18.html

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