別府大学駅(大分県別府市)※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
日本企業の資金調達を巡る環境が急速に改善してきた。4月の国内での公募社債の発行額は約1兆5500億円と前年同月比で9割増え、2年7カ月ぶりの水準となった。米連邦準備理事会(FRB)の緩和的な姿勢を受けて金利環境が安定し、多くの企業が起債に動いた。設備増強やM&A(合併・買収)など成長投資への企業の意欲の強さを示している。
4月は1千億円以上の起債が相次いだ。ブリヂストンは年限が5年、7年、10年の3本合計で2000億円分を発行。設備投資や自社株買いの原資とする。ソフトバンクグループは個人投資家向け社債5000億円を発行。機関投資家向けも含めて日本企業の国内発行で過去最大となった。
5月以降も高水準の起債が続く見通し。例えば武田薬品工業は「ハイブリッド債」と呼ぶ特殊な社債を最大5000億円発行する予定だ。
◎2つの疑問が…
記事を信じれば「日本企業の資金調達を巡る環境が急速に改善してきた」きっかけは「米連邦準備理事会(FRB)の緩和的な姿勢を受けて金利環境が安定」したことだろう。米国の利上げ局面では「金利環境」が不安定で「日本企業の資金調達を巡る環境」は厳しかったと筆者は見ているようだ。
しかし、国内の「金利環境」は超低金利でずっと「安定」している。米国で資金調達する企業はともかく「日本企業」を全体として見て、それほど「日本企業の資金調達を巡る環境」が厳しかったのかとの疑問が湧く。
加えて、「国内での公募社債の発行額」の増減で「日本企業の資金調達を巡る環境」を見るのが適切なのかとも思う。「前年同月」に「起債」が少なかったのは、資金需要が乏しかったからかもしれない。「起債」するより銀行借り入れの方が有利だったという可能性もある。
記事からは、「起債」が増えた→「日本企業の資金調達を巡る環境」が改善--と単純に捉えている印象を受ける。
実は「日本企業の資金調達を巡る環境が急速に改善してきた」とは筆者も思っていないのではないか。記事を1面に持っていくためにインパクトのある表現を用いただけだと考えると腑に落ちる。
※今回取り上げた記事「社債2年7カ月ぶり水準 4月発行、9割増の1.5兆円」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190512&ng=DGKKZO44695970S9A510C1MM8000
※記事の評価はD(問題あり)。
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