2019年3月28日木曜日

ミス3連発が怖い週刊ダイヤモンドの特集「株・為替の新格言」

ミスには寛容なつもりだ。自分自身が誤りの多い人間だからだ。しかし、初歩的なところで続けて間違った説明をされると「筆者はちゃんと分かって書いてるのかな?」と不安になる。週刊ダイヤモンド3月30日号の特集「株・為替の新格言」には、読んでいて大きな不安を感じたくだりがある。
呼子大橋(佐賀県唐津市)からの風景
       ※写真と本文は無関係です

編集部に送った問い合わせの内容は以下の通り。

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部 編集長 深澤献様 藤田章夫様 竹田幸平様 竹田孝洋様 中村正毅様

3月30日号の特集「株・為替の新格言」の「Part 1~電脳相場か官製相場か 今、相場を動かすのはいったい誰なのか」に出てくる「短期の大幅な振れは無視せよ~アルゴリズム取引の正体」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

株と債券は、『逆相関』の関係にあるというのが定説だ。金利が低下すれば株価が上がり、片や債券価格は下がるといった具合だ。こうした局面にあるとみれば、株をロング(売り持ち)し、債券をショート(買い持ち)して運用する

この短い説明の中に3つの間違いがあると思えます。

(1)「金利が低下すれば債券価格は下がる」?

日本証券業協会のホームページでは「債券には、金利が上昇すると価格は下がり、金利が低下すると価格は上がる特徴があります」と説明しています。改めて言うまでもない常識です。しかし今回の記事では「金利が低下すれば債券価格は下がる」と断言しています。

(2)「ロング=売り持ち」?

三菱UFJ信託銀行の用語集によると「ロングポジション」とは「金融資産を『買った状態で保有する(買い持ち)』です」。しかし記事では「株をロング(売り持ち)」と書いています。

(3)「ショート=買い持ち」?

三菱UFJ信託銀行の用語集によると「金融資産を『売った状態で保有する(売り持ち)』のがショートポジション」です。しかし記事では「債券をショート(買い持ち)して」と書いています。

以上の3点は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。問題のくだりを読むと「筆者は市場に関する理解を決定的に欠いたまま記事を書いているのではないか」との疑念が拭えません。読者から購読料を得ているメディアとして、逃げずに説明責任を果たしてください。間違いであれば、当然に次号での訂正も必要となります。

御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。そうやって逃げ回ってきたことが、今回のような記事を生んだのではありませんか。改めて猛省を求めます。

◇   ◇   ◇

「天下の週刊ダイヤモンドの記者がこんなにミスを連発するか? 連発したとしても周りの誰かが気付くだろう」と思って何度も記事を読み返してみたが、どう考えても間違いだ。

深澤献編集長には改めて問いたい。「それでもやはり問い合わせを無視しますか? そこにメディアとしてのどんな正しさがありますか?」


※今回取り上げた特集「株・為替の新格言
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/26175


※特集や担当者らへの評価は編集部の対応を見た上で決めたい。4人の担当者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「マカオ返還」は忘れた? 週刊ダイヤモンド「投資に役立つ!地政学・世界史」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_29.html

バランス型投信を「投資の王道」と言う週刊ダイヤモンドへの「異論」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_30.html



追記)後に記事の誤りを認める回答があった。この件に関しては以下の投稿も参照してほしい。

ミス放置「改革」できる? 週刊ダイヤモンド山口圭介編集長に贈る言葉
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_95.html

「ミス放置」方針を転換した週刊ダイヤモンドの「革命」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/04/blog-post_12.html

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