長崎鼻(大分県豊後高田市)※写真と本文は無関係 |
【日経ビジネスの記事】
折しも、日本でもガバナンスに対する投資家の関心はここ数年高まってきている。日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告を巡る問題を見るまでもなく、ガバナンスの機能不全が企業価値を毀損させる例が相次いでいるのだから当然のことだろう。
配当や自社株買いなど株主還元策を施していれば、株主は満足する。そんな時代はもはや終わりを迎えていることを企業経営者は肝に銘じる必要があるだろう。
◎「そんな時代」あった?
「配当や自社株買いなど株主還元策を施していれば、株主は満足する」時代があっただろうか。「そんな時代はもはや終わりを迎えている」と「日経ビジネス編集部」は言うが「そんな時代」は元々なかったと思える。
例えば、「株を買った後もズルズルと値を下げて買値の半分を下回る状態が3年以上も続いている。でも無配にはなってないから満足」と考える株主が昔は当たり前にいたのか。今も昔もほとんどいないはずだ。
「米ファンド、ソニーに事業分離提案 映画・音楽など、上場求める」という2013年5月15日付の日経の記事によると「米有力ヘッジファンドのサード・ポイントは14日、ソニーに映画や音楽などの事業を分離し、米国で上場するよう提案した」らしい。
「サード・ポイントによると、同社は実質的にソニーの株式の約6%を保有するという」のだから、株主と考えてよいだろう。そしてソニーは13年の時点では無配になったこともない。つまり「配当や自社株買いなど株主還元策を施して」いたのに、「株主は満足」していなかったと判断できる。
となると、少なくとも13年時点で「そんな時代」は終わっていたはずだ。「そんな時代」とはいつの話なのか。なかったと考える方が自然ではないか。
ついでに言うと「日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告を巡る問題」を「ガバナンスの機能不全が企業価値を毀損させる例」と断定するのは早計だろう。不正があったのか、不正の存在を知りながら他の役員らがそれを黙認していたのかといった点について「日経ビジネス編集部」は確たる根拠を持っているのか。
※今回取り上げた記事「時事深層 COMPANY~株主から物言い相次ぐ LIXIL、不可解人事の波紋」
※記事の評価はD(問題あり)。
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