玄海エネルギーパークの観賞用温室(佐賀県玄海町) ※写真と本文は無関係です |
【日経ビジネスの記事】
そして、若者の「会社」に対する考え方が大きく転換しようとしている。
慶大教授の田中は、新入生を対象にした「働き方と生き方」というテーマの講義を担当している。例年、200人を超える受講者が集まる人気を誇る。昨年春のこと、田中はある異変に気付いた。
「これまで、学生は『どこの会社が合っているか』『どうやって就職活動を乗り切るか』に興味があった。ところが今の大学1年生は、入学した瞬間から、大企業に就職する気がない」
東大でも同様の傾向があるという。
「大企業をターゲットにしていない学生がだいぶ増えた」(柳川)
現在、大学に入学してくる世代の親は、多くが「就職氷河期」を経験し、企業の苛烈なコストカットやリストラを目の当たりにしてきたことが特徴だ。
「大企業に入っても、ろくなことはない。そう親から聞き続けた世代ではないか」
そう見る田中は、変化を続ける日本の「会社」が、数年後の採用活動で衝撃を受けると予想している。
◎楽しみだが、当たらない気が…
慶大の就職先企業の上位を見ると大手の金融機関や商社がずらりと並ぶ。田中教授の「予想」が当たれば、メガバンクや大手商社に就職する慶大生は3年後にはほぼゼロになるはずだ。「今の大学1年生は、入学した瞬間から、大企業に就職する気がない」のだから。
これが本当ならば確かに「衝撃」だ。だが「予想」は外れる気がする。
慶大の状況について田中教授の方が圧倒的に詳しいとは思う。それでも「予想」を信じられないのは、変化が急すぎるからだ。
今の2年生や3年生の就職観は従来の延長線上にあるのに、1年生は「入学した瞬間から、大企業に就職する気がない」と突然変異を起こしてしまう。「入学」直前にそう思わせてしまう大事件でもあったのなら話は別だが、そうでもなさそうだ。
「現在、大学に入学してくる世代の親は、多くが『就職氷河期』を経験し、企業の苛烈なコストカットやリストラを目の当たりにしてきたことが特徴だ」との説明も腑に落ちない。今の2年生の親は、1年生の親と基本的に同「世代」だろう。1年生の親の「多くが『就職氷河期』を経験」しているのならば、それは2年生の親にも当てはまる。
さらに言えば「企業の苛烈なコストカットやリストラを目の当たりにしてきた」のは「『就職氷河期』を経験」している世代に限らない。バブル期に就職した「親」も、その後に「コストカットやリストラを目の当たりにしてきた」はずだ。
「大企業に入っても、ろくなことはない。そう親から聞き続けた世代ではないか」と田中教授は見ているようだが、「『就職氷河期』を経験」してきた世代は「なかなか大企業に入れなかった世代」とも言える。その影響で「子供は大企業の正社員になってほしい」と願う傾向が強まっても不思議ではない。
上記のような理由で「田中教授の予想は当たらない」と予想しておく。基準も示しておいた方がよいだろう。2017年度の就職実績を見ると、慶大は全学部でメガバンクに240人が就職したようだ。そこで、今の1年生の卒業時に慶大生のメガバンクへの就職が全学部で10人未満であれば「田中教授の予想は当たり」としたい。「10~100人」ならば微妙か。100人を超えれば「外れ」でいいだろう。
本当に「日本の『会社』が、数年後の採用活動で衝撃を受ける」かどうか楽しみに待ちたい。
※今回取り上げた記事「50周年記念特集 会社とは何か 組織と働き方の未来 エピローグ~フラット&オープン」
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/122601160/?ST=pc
※記事への評価は見送る。
0 件のコメント:
コメントを投稿