2018年12月3日月曜日

「怪物ゴーン生んだ」メディアの責任に触れた日経ビジネス東昌樹編集長に期待

日経ビジネス12月3日号の「編集長の視点~怪物ゴーンを生んだ人 カリスマとイエスマン」という記事で、東昌樹編集長が「怪物ゴーンを生んだ」メディアの責任に言及している。そこは高く評価したい。記事では以下のように書いている。
杵築城(大分県杵築市)※写真と本文は無関係

【日経ビジネスの記事】

怪物ゴーンを作り出したのは一体誰でしょう。瀕死の状態だった日産を救ったゴーン氏を特別視し、自らの保身のためにイエスマンとなった日産の幹部たち。そして、その危うさを正すことができなかった私たちメディア……。力を持つ者に物申すのは容易なことではありませんが、力をなくした者を批判しても始まりません。過ちを繰り返さないよう、批判よりも反省が必要でしょう。


◎日経でもぜひ改革を

東編集長の古巣でもある日本経済新聞では「怪物ゴーン」が逮捕された途端に報道姿勢が一変した。「問題のある人物だとは知らなかった」と言うのならば分かる。だが、「日産とルノーのトップを兼務し始めたころから独裁者に変貌し始めた」「いつしか暴君と恐れられる存在に」などと、以前から問題を把握していたかのような記事を平気で書いて、自らを反省する姿勢は見られない。

東編集長もいずれは日経に戻り、編集局で重要なポストに就くはずだ。その時に「危うさを正すことができなかった」日経を変えるべく変革に動いてほしい。

問題に気付いていても「危うさを正すことができなかった」原因は、待っていれば発表されるものを発表前に書くことを重視する日経の体質にある。日産が重要な取材先で、そこに「怪物ゴーン」が君臨している場合、下手に批判して取材がしにくくなったら記者としての社内的立場が危うくなる。だから「独裁者」で「暴君」だと分かっていても「危うさを正すこと」はできない。

早耳筋的な情報を取ってくるよりも「危うさを正す」ように日経社内で記者に求めていれば、「怪物ゴーン」の「危うさを正すこと」はできた可能性が高い。それは東編集長も分かっているはずだ。

ついでに、記事で引っかかった点を1つ指摘しておきたい。

【日経ビジネスの記事】

そんな彼が過ちを犯したのは、経営トップとは「権力」である、と認識していたからではないかと推察します。本来、経営トップは意思決定をし、責任を取る「機能」にすぎません。

◎「権力」と「機能」は両立するのでは?

経営トップ」は「機能」にすぎず「権力」ではないと東編集長は考えているのだろう。だが、「機能」と「権力」は両立するし、「経営トップ」はその両方だと思える。「経営トップ」が社内の人事権を握っている場合、「経営トップ」に「権力」はないだろうか。


※今回取り上げた記事「編集長の視点~怪物ゴーンを生んだ人 カリスマとイエスマン
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/223796/112800184/?ST=pc


※記事の評価はB(優れている)。東昌樹編集長への評価もBを据え置く。東編集長に関しては以下の投稿も参照してほしい。

コメントの主は誰? 日経ビジネス 東昌樹編集長に注文
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html

「中間価格帯は捨てる」で日経ビジネス東昌樹編集長に注文
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_87.html

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