2018年10月26日金曜日

色々と疑問が残る日経「自動運転EVサービス、パナソニック参入」

26日の日本経済新聞朝刊企業3面に載った「自動運転EVサービス、パナソニック参入 地域の移動・物流に的」という記事は、色々と疑問が残る内容だった。記事の全文を見た上で具体的に指摘したい。
勘定場の坂(大分県杵築市)※写真と本文は無関係

【日経の記事】 

パナソニックは車や電車など様々な移動サービスを連携してワンストップで利用できるようにする次世代の移動サービスに参入する。自動運転の小型電気自動車(EV)をスタートアップ企業などと開発し、過疎地の高齢者の近距離移動などの提供を検討している。

「モビリティー・アズ・ア・サービス(MaaS)」と呼ぶ次世代移動サービスに2030年までに参入する計画だ。自動車などのモビリティー(移動手段)をサービスとして提供するもので、「所有」から「利用」に消費がシフトするなか、付随サービスも含め市場の拡大が見込まれている。

次世代移動サービスを巡ってはトヨタ自動車とソフトバンクグループが10月に提携した。業種を超えた取り組みが広がっており、パナソニックは強みをもつEV用電池などを生かして参入する。

低速で目的地まで移動する自動運転のEVを用意する。消費者向けには買い物に不自由な過疎地の高齢者向けの移動手段として提供することを想定する。物流会社や自治体と組み、近隣の物流拠点から利用者の住宅までの宅配便の運搬の利用も見込む。パナソニックは電池を含む自動車関連事業の中長期計画の策定を進めており、この柱の一つとして盛り込む。

◇   ◇   ◇

気になった点を列挙してみる。

(1)「電車」はどうなった?

パナソニックは車や電車など様々な移動サービスを連携してワンストップで利用できるようにする次世代の移動サービスに参入する」と冒頭で宣言しているが、記事を読んでも「EV」を「電車」などとどう連動させて「ワンストップで利用できるようにする」のか説明がない。

過疎地の高齢者の近距離移動」に関しては「低速で目的地まで移動する自動運転のEVを用意する」のであれば、「EV」だけで事足りる。「近隣の物流拠点から利用者の住宅までの宅配便の運搬」もそうだ。いずれも「車や電車など様々な移動サービスを連携してワンストップで利用できるようにする次世代の移動サービス」とは言い難い。

ついでに言うと「低速で目的地まで移動する自動運転のEVを用意する」のはやめてほしい。「低速」が仮に時速20~30キロメートルだとすると、そんな速度で国道などを走られたら渋滞の原因にもなるし、迷惑だ。


(2)「スタートアップ企業」の具体名は?

自動運転の小型電気自動車(EV)をスタートアップ企業などと開発」と最初の段落で書いているのに、具体的な企業名が出てこないのも気になった。決まっているならば記事に入れるべきだし、決まっていないのならば、そう書いてほしい。「どこと組むか決まっていないが、組むとしたら『スタートアップ企業』」というのは奇妙な話ではあるが…。


(3)なぜ「2030年まで」?

自動運転EVサービス、パナソニック参入」とは言うものの、「2030年までに参入する」という、かなり気の長い話だ。「参入」までに10年以上を要する可能性があるのならば、克服すべき大きな課題を抱えているはずだ。そこの説明は欲しい。


※今回取り上げた記事「自動運転EVサービス、パナソニック参入 地域の移動・物流に的
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181026&ng=DGKKZO36922430V21C18A0TJ3000


※記事の評価はC(平均的)。

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