2018年10月3日水曜日

「4時間の壁」崩壊に無理がある週刊ダイヤモンド「新幹線vs飛行機」

新幹線での移動時間が4時間を超えると、飛行機へ利用客が流れるという鉄則」があって、これを「4時間の壁」と呼ぶとしよう。この「」が「崩れている」と言えるのはどんな状況だろう。常識的に考えれば「新幹線での移動時間が4時間を超えても、飛行機へ利用客が流れない」ようになる必要がある。
旧グラバー住宅(長崎市)※写真と本文は無関係です

しかし週刊ダイヤモンドの考えは違うようだ。10月6日号の特集「移動の覇者はどっち? 新幹線vs飛行機 十番勝負」では、そうした状況にないにもかかわらず「4時間の壁はとっくに崩れている。そんな壁は存在しない」と言い切っている。

編集部には以下の内容で問い合わせを送った。


【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部 柳澤里佳様 浅島亮子様 松野友美様 新井美江子様

10月6日号の特集「移動の覇者はどっち? 新幹線vs飛行機 十番勝負」の中の「Prologue 安全神話も4時間の壁も崩壊~新幹線vs飛行機 50年戦争の『その先』」という記事についてお尋ねします。見出しにも出てくる「4時間の壁」に関して記事では以下のように説明しています。

<記事での説明>

新幹線か、飛行機か。これまで、どちらを使うかの決め手になるのが「4時間の壁」だとされてきた。新幹線での移動時間が4時間を超えると、飛行機へ利用客が流れるという鉄則である。

しかし、実際には4時間の壁はとっくに崩れている。そんな壁は存在しない。

その意味するところは二つある。一つ目は、時間の壁がさらに短縮した。50年以上も、飛行機と新幹線が激しく競い合った結果、利用者は「3時間台」までしか許容できなくなっている。両者が直接対決する区間で言えば、東京~岡山の「3時間10分」が限界に近い(空港が市街地から遠い広島は、利用者の好み次第)。

実際に、アンケートでも新幹線利用を許容する時間は「2~3時間以内」と「3~4時間以内」が拮抗する結果になった。

--ここからが質問です。「4時間の壁はとっくに崩れている。そんな壁は存在しない」と断定していますが、記事で示したデータが正しければ「4時間の壁」は崩れていないのではありませんか。

利用者は『3時間台』まで(つまり4時間未満です)しか許容できなくなっている」とすれば、まさに「4時間の壁」です。「『3時間10分』が限界に近い」「(岡山より遠い)広島は、利用者の好み次第」とすれば、1時間単位で見た「」は「4時間」に存在します。

アンケートでも新幹線利用を許容する時間は『2~3時間以内』と『3~4時間以内』が拮抗する結果になった」と記事でも書いています。記事中のグラフを見ると「4~5時間以内」で大きく数値が落ちるので、ここでも「4時間の壁」を感じられます。

4時間の壁はとっくに崩れている。そんな壁は存在しない」との説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた特集「移動の覇者はどっち? 新幹線vs飛行機 十番勝負
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/24659


※特集全体の評価はD(問題あり)。担当者らの評価は以下の通り(敬称略)。

柳澤里佳(暫定C→暫定D)
浅島亮子(Dを維持)
松野友美(暫定D)
新井美江子(C→D)


※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

大宮からUSJ「2時間」で行ける? 週刊ダイヤモンド「新幹線vs飛行機」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/usj-vs.html

空の「安全神話」そもそもある? 週刊ダイヤモンド「新幹線vs飛行機」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/vs.html

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