2018年6月14日木曜日

日経 飯野克彦論説委員はキルギスも「重量級」に含めるが…

日本経済新聞の飯野克彦上級論説委員による「上海協力機構(SCO)首脳会議」の解説が引っかかった。14日の朝刊オピニオン面に載った「中外時評~『ルールよりディール』の時代」という記事では「G7もSCOもメンバーは重量級ぞろいである」「(G7と)同じくらいに重量級の多国間の枠組みとなったSCO」と記している。
有明海(佐賀県太良町)※写真と本文は無関係です

G7が「重量級ぞろい」なのは分かる。問題は「SCO」だ。

加盟しているのは中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタンの8カ国。「重量級ぞろい」と言えるだろうか。中国、ロシア、インドは同意できるが、パキスタンは苦しい。カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンは論外だ。GDPで言えば、キルギス、タジキスタンは世界の100位以内にも入らない。それでも飯野上級論説委員には「重量級ぞろい」と映るのか。

ついでに「もともとSCO諸国の経済政策はG7ほど開かれてはいない。中国やロシアでは政治がビジネスに介入するのはごく当たり前である」という説明にもツッコミを入れておきたい。この書き方だと「G7」では「政治がビジネスに介入」しないのが当然という印象を受ける。

だが、日本でも「政治がビジネスに介入するのはごく当たり前」だ。飯野上級論説委員は「官製春闘」という言葉を聞いたことがないだろうか。「春闘の労使間交渉に政府が介入することを揶揄していう語」(デジタル大辞泉)だ。

東芝の経営再建に絡んでも「政治がビジネスに介入」している状況が様々に報じられた。東京電力に関しては国有化までしている。「政治がビジネスに介入するのはごく当たり前」と言える国を「開かれてはいない」と評するならば、G7に属する日本もその例に漏れないはずだ。


※今回取り上げた記事「中外時評~『ルールよりディール』の時代
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180614&ng=DGKKZO31713880T10C18A6TCR000


※記事の評価はC(平均的)。飯野克彦上級論説委員への評価も暫定でCとする。

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