島原城(長崎県島原市)※写真と本文は無関係です |
【日経ビジネスの記事】
ITベンチャーのマーケティング部門で働くるいさん(仮名・26歳)の年収は200万円。設立してから間もない会社を成長させるために営業に力を入れる毎日だ。クライアントになりそうな企業の門をたたき、顧客候補となる会社の人と一緒に食事をすることもよくある。
まだたくさんの給料がもらえず懐は寂しい。週末になるとお金が足りなくなることもしばしばだ。
給料前払いアプリ、ペイミーの前払い申請画面。振り込み予定日や手数料も同時に表示される
しかし、今のるいさんには強い味方がいる。会社が導入した給料即日前払いサービス「ペイミー」だ。これを利用すれば、その月に働いた分の給料がすぐに前払いされる。
スマホでアプリを開くと、会社の勤怠記録を基に計算した給与の引き出し可能額が表示される。引き出したい分の金額を入力し、申し込みボタンを押せば、最短で即日、登録した銀行口座にお金が振り込まれる。ペイミーが会社に代わって給料を立て替えてくれる仕組みだ。これで毎週、1万~2万円引き出し、生活費に充てている。
利用には引き出し額の最大6%の手数料が発生する。決して安くはない金額だが、手数料よりも、資金繰りがショートしないことの方が重要と考え、割り切って利用している。
「おかげで生活費が足りずに困ることがなくなりました」。るいさんは笑顔を見せる。ペイミー導入前は、フリマアプリでいらないものを売ってお金にしていたが、出品してからお金を手にするまで最低1週間近くはかかっていた。「『すぐに』を実現できるという意味で、給料前払いはすごく使い勝手がいいと思います」と、るいさんは話す。
◎「貧困」に拍車を掛ける方では?
「給料即日前払いサービス『ペイミー』」は「錬金術」と呼べるだろうか。そこまで行かなくても「貧困解消につながる」とは言えるだろうか。いずれもノーだ。普通に考えれば誰でも分かる。
給料は働いて得るものだ。それを「前払い」してもらったからと言って「錬金術」が実現するわけではない。受け取る時期が早くなるだけだ。
では「貧困解消につながる」面はあるだろうか。特殊なケースを想定すれば別だが、基本的には、貧しい人をより貧しくするサービスだ。「利用には引き出し額の最大6%の手数料が発生する」からだ。
「るいさん」に関して考えてみよう。(1)給与の前払いをやめさせて、普通に支払われる給与の範囲内で生活するように指導する(2)6%の手数料を支払って前払いサービスの利用を続ける--。「るいさん」が「貧困」状態だと仮定すると「貧困解消につながる」のはどちらだろう。これも言うまでもない。
自分の支出をきちんと管理できない低所得層から手数料を得ようとするのが「給料即日前払いサービス『ペイミー』」だとも言える。こんなサービスを前向きに取り上げる担当者らの気が知れない。
あるいは、担当者らには「ペイミー」が「錬金術」と「貧困解消」を同時に実現してくれる魔法のサービスのように映っているのだろうか。だとしたら、まともな記事を書くのは諦めた方がいい。
※今回取り上げた記事「フィンテックの隠れた主役『貧テック』って何だ?」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/042600974/?ST=pc
※特集全体の評価はD(問題あり)。武田安恵記者への評価はDを維持。高槻芳記者は暫定でDとする。藤村広平記者は暫定B(優れている)から暫定Dへ引き下げる。
※藤村記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
読むに値しない日経ビジネス藤村広平記者の「時事深層」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/08/blog-post_30.html
瑣末な問題あるが日経ビジネス「コンビニ大試練」を高評価
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/10/blog-post_28.html
※武田記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「個人は米国株の投資拡大」が怪しい日経ビジネスの記事
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_3.html
0 件のコメント:
コメントを投稿