「ブルーウィングもじ」と「レトロハイマート」 (北九州市)※写真と本文は無関係です |
人工知能(AI)やビッグデータの米テキサス州オースティン、フィンテックが特色のダブリン(アイルランド)、ブロックチェーン(分散型台帳)に力を入れる地中海の島国マルタ――。辺境であっても、柔軟な発想と機動力を生かす都市に好機がやって来た。
◎3つとも「辺境」ではないような…
上記の書き方から判断すると、取材班は「米テキサス州オースティン」「ダブリン(アイルランド)」「島国マルタ」を「辺境」と見ているようだ。個人的には3つとも違う気がする。
明らかに違うのが「ダブリン」だ。首都なので「中央から遠く離れた地帯」にはなり得ない。「中央」そのものだ。「この場合、中央はEU本部があるブリュッセル」というやや無理のある前提で考えてみても、ダブリンを「辺境」と見るのは苦しい。この前提ではローマやマドリードも「辺境」になってしまうが、こうした都市を「辺境」だと感じる人はほとんどいないはずだ。
「島国マルタ」に関しては、まず「都市」ではなく「国」だ。ブリュッセルからは遠く離れてはいるが、国全体を「辺境」と見なすのは失礼だし、言葉の意味から考えても適切ではない。
「辺境」に最も近いのは「オースティン」か。「中央(=ワシントン)から遠く離れた地帯」ではある。だが、それを言えばシリコンバレーも「辺境」になる。しかもオースティンはテキサス州の州都で、人口で見ても米国で20位以内に入る大都市だ。これを「辺境」と呼ぶのは、ちょっと苦しい。
日本で言えば、新潟市や熊本市を「辺境」と呼んでいる感じになる。今回の記事を「オースティン」「ダブリン」「マルタ」の関係者が読む機会はほとんどないかもしれない。だが、「辺境」というややマイナスイメージのある言葉を使うのならば、その使い方には慎重であってほしい。
※今回取り上げた記事「スタートアップ大競争 都市は競う(中) さらば企業城下町 辺境の地、頭脳で勃興」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180515&ng=DGKKZO30473230U8A510C1MM8000
※記事の評価はC(平均的)。今回の連載に関しては以下の投稿も参照してほしい。
データの扱いが恣意的な日経1面「スタートアップ大競争」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/05/blog-post_14.html
登場人物の「瞬間移動」が気になる日経「スタートアップ大競争」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/05/blog-post_16.html
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