2018年2月7日水曜日

今世紀中は高齢者が急増? 日経ビジネス「幸せ100歳達成法」

2月5日号の特集「幸せ100歳達成法~長生きリスクを越える」には色々と問題を感じた。その中でも、間違いだと思えたのが「猛スピードで進む高齢者の増加」という説明だ。2100年に向けて日本で高齢者が「猛スピードで」増加するとは考えにくい。そこで日経BP社に問い合わせを送ってみた。内容は以下の通り。
水天宮(東京都中央区)※写真と本文は無関係です

【日経BP社への問い合わせ】

日経ビジネス編集部 武田健太郎様 武田安恵様

2月5日号の特集「幸せ100歳達成法~長生きリスクを越える」の中の「PROLOGUE~2100年 日本はこうなる 人口・暮らし・社会を大胆予想」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下の記述です。

むしろ生まれる子供はもっと減り、76年の年間出生数は50万人を割り込むと予想されている。少子高齢化ならぬ『無子高齢化社会』が本格化するのだ。猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少。今後、100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来を統計から予想するとこんな姿になる

引っかかったのは「猛スピードで進む高齢者の増加」です。高齢社会白書(2017年版)によると、高齢者(65歳以上)人口は2016年が3459万人で、42年に3935万人とピークを迎え、65年には3381万人にまで減る見込みです。

記事からは「76年」の時点でも「高齢者の増加と人口減少」が「猛スピードで進む」ような印象を受けます。しかし、この頃には高齢者は減少傾向となっているはずです。

猛スピードで進む高齢者の増加と人口減少」とは「100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来2100年ごろまで」に関する記述だとも解釈できます。その場合は約80年のうち60年近くも高齢者人口が減り続ける可能性大です。しかも65年には今より高齢者人口が少なくなるのです。

また、16年からピークの42年までの26年間でも、14%しか高齢者人口は増えません。この期間に限っても「猛スピードで進む高齢者の増加」とは言えないでしょう。

100歳近くまで生きる今の子供たちが経験する未来を統計から予想する」場合、「高齢者人口は2040年代まで緩やかに増え続けるが、その後は減少に転じる」とでも書くのが適切ではありませんか。「猛スピードで進む高齢者の増加」が2100年頃に向けて進むとの記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。

付け加えると「無子高齢化社会」との表現には問題を感じました。出生数が49万人であっても明らかに「無子」ではありません。少なくとも不正確であり、厳しく言えば誤りです。また、「50万人」で「無子」かどうかを線引きする根拠もないはずです。

問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

◇   ◇   ◇

問い合わせは2月3日(土)に送っているが、6日(火)までに回答はなかった。回答があれば、その内容も紹介したい。

追記)回答に関しては以下の投稿を参照してほしい。

「高齢者人口が急増」に関する日経ビジネスの回答に注文
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/blog-post_8.html


※特集全体への評価はD(問題あり)。武田健太郎記者と武田安恵記者への評価もDを据え置く。今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「人生100年」に無理がある日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/100100.html

年金支給開始85歳でも「幸せ」? 日経ビジネス「幸せ100歳達成法」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/02/85-100.html

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