久留米成田山(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【日経への問い合わせ】
「生産性考~危機を好機に(5)努力生かせぬ介護 社会保障こそ成長の源」という記事についてお尋ねします。記事では「日本の高齢化は世界最速で進む」と言い切っています。しかし、内閣府が出している高齢社会白書(平成29年版)には以下の記述があります。
「高齢化の速度について、高齢化率が7%を超えてからその倍の14%に達するまでの所要年数(倍加年数)によって比較すると、フランスが115年、スウェーデンが85年、アメリカが72年、比較的短い英国が46年、ドイツが40年に対し、我が国は、昭和45(1970)年に7%を超えると、その24年後の平成6(1994)年には14%に達した。しかし、足元ではその伸び率は鈍化している。一方、アジア諸国に目を移すと、韓国が18年、シンガポールが20年、中国が23年など、今後、一部の国で、我が国を上回るスピードで高齢化が進むことが見込まれている」
日本の高齢化率は「足元ではその伸び率は鈍化している」ようです。一方で韓国は18年間(1999~2017年)で高齢化率が7%から14%に高まっています。さらにシンガポールや中国では今後「我が国を上回るスピードで高齢化が進むことが見込まれている」のです。高齢社会白書のデータが正しいのであれば「日本の高齢化は世界最速で進む」とは考えにくいと思えます。
記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。少なくとも正確さに欠けるのではありませんか。問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社として、掲げた旗に恥じない行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
「日本の高齢化は世界最速で進む」というのが、どの時期を指すのか明確ではない。しかし、過去あるいは足元であっても韓国の方が「最速」と呼ぶにふさわしい。将来で見ても日本より中国やシンガポールの方が速度では上回る。なので「日本の高齢化は世界最速で進む」との説明はかなり苦しい。
高齢化の速度の測り方を変えれば「日本の高齢化」が「世界最速」となる余地は残る。だが、かなり無理のある弁明になりそうな気がする。日経は過去にも「日本の高齢化は世界最速で進む」との趣旨を記事で述べている。だが、本当に「世界最速」かどうかを、しっかり検証した方がいい。少なくとも高齢社会白書では「世界最速」とは判断していないのだから。
※今回取り上げた記事「生産性考~危機を好機に(5)努力生かせぬ介護 社会保障こそ成長の源」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171201&ng=DGKKZO24127180R01C17A2MM8000
※記事の評価はD(問題あり)。今回の連載に関しては以下の投稿も参照してほしい。
日本の労働生産性は「低下傾向」? 日経「生産性考」の誤り
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_27.html
「労働生産性」を数値で見せない日経1面「生産性考」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_28.html
解雇規制緩和で生産性が向上? 日経「生産性考」の無理筋
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_83.html
「鍵は経営者」だとデータが物語らない日経「生産性考」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_36.html
最後まで問題だらけの日経「生産性考~危機を好機に」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/12/blog-post_2.html
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