古賀病院21(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
【日経への問い合わせ】
27日の朝刊企業面に載った「生産性考~さらばモーレツ 日本電産・永守氏と重なる日本の歩み プロの働き方磨く時代」という記事についてお尋ねします。記事に付けたグラフには「高度成長期の終了後、労働生産性は低下傾向が続く」とのタイトルが付いています。記事中にも「前後して日本は高度成長期を終え、労働生産性も急速に低下していく」との記述が見られます。しかし、グラフを見る限りでは「労働生産性」が「低下傾向」を示した時期が見当たりません。
注記によると、グラフは「就業1時間当たりの実質労働生産性上昇率」を示しています。0%近くまで落ち込んだ時期もありますが、それでも「上昇率」はプラスを維持しています。グラフで示した全期間にわたって「上昇率」がプラスならば、「労働生産性」は「上昇傾向」が続いているはずです。「高度成長期の終了後、労働生産性の伸びは鈍化している」と言いたかったのかもしれませんが、そうは書いていません。
「高度成長期の終了後、労働生産性は低下傾向が続く」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
付け加えると、「日本は90年代半ば以降、労働生産性は高くても1%台にとどまる」との説明も誤りだと思えます。「90年代半ば以降、日本の労働生産性の上昇率は高くても1%台にとどまる」などと書くべきです。今回の記事では、「労働生産性」と「労働生産性上昇率」を筆者が混同していると考えられます。
お忙しいところ恐縮ですが、回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社として、掲げた旗に恥じない行動を心掛けてください。
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ちなみに「名目労働生産性、8年ぶり最高 女性就労増加で」という昨年10月30日付の記事で日経は以下のように報じている。
「日本生産性本部は日本の名目労働生産性が2015年度に1時間あたり4518円と前年度に比べ2.3%増えたとの調査結果をまとめた。4年連続で増え、8年ぶりに過去最高を更新した」
今回の記事とは「実質」と「名目」の違いがあるが、労働生産性が上昇傾向にあることは、日経も報じている。「日本は労働生産性が低い。だから何とかしなきゃ」と訴えたいのは分かる。だからと言って今回のような説明を続けていたら、説得力のある記事にはななり得ない。そのことを取材班のメンバーは肝に銘じてほしい。
※今回取り上げた記事「生産性考~さらばモーレツ 日本電産・永守氏と重なる日本の歩み プロの働き方磨く時代」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171127&ng=DGKKZO23920350W7A121C1TJC000
※記事の評価はD(問題あり)。今回の連載に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「労働生産性」を数値で見せない日経1面「生産性考」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_28.html
解雇規制緩和で生産性が向上? 日経「生産性考」の無理筋
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_83.html
「鍵は経営者」だとデータが物語らない日経「生産性考」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/11/blog-post_36.html
「日本の高齢化は世界最速」? 日経「生産性考」取材班に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/12/blog-post.html
最後まで問題だらけの日経「生産性考~危機を好機に」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/12/blog-post_2.html
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