筑後川(佐賀市・福岡県大川市)※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
二輪車世界最大手のホンダは2019年をメドに小型電動バイクを東南アジアに投入する。着脱式の電池で走行し、外した電池で家屋の照明用の電源にも使える。電力インフラが未整備な新興国での需要を開拓する。まず東南アジアなどの新興国で投入し、日本での発売も視野に入れる。世界的に環境規制が強まる中、二輪車でも電動化の動きが広がりそうだ。
独自開発した着脱式リチウムイオン電池を搭載したスクーターモデルの専用バイクを発売する。フル充電した電池で50~60キロメートル走行できる。電池は家庭の照明の電源やスマートフォンの充電などにも使える。
電動バイクの投入にあわせ、現地企業と組んで街中に着脱式電池の交換スタンドを設ける。スタンドに立ち寄るバイクの利用者は充電済みの電池と交換できる。
電力需要のピーク時にはスタンドから送電網への電力供給も想定する。太陽光など再生エネルギーを活用すれば、電力インフラが未整備な国でも大規模な発電所や送電網の整備が不要になる。
二輪の主要市場であるアジアでは環境規制が強まっており、電動化が加速する可能性がある。
世界最大の二輪市場のインドは20年から欧州と同水準の排出ガス規制を導入する予定だ。ベトナムでもハノイ市で中心部へのバイクの乗り入れを20年から段階的に禁止する方針だ。
ホンダは自ら充電インフラを整備することで、アジアの二輪車電動化の需要取り込みを目指す。
◎何がニュースの肝?
「ホンダが電動バイクを市場に投入する。これは世界の二輪メーカーで初」という話ならば、1面に持ってくるのに何の問題もない。だが、記事からは「世界初」かどうかはもちろん「ホンダとして初」なのかも不明だ。ちなみに、ヤマハ発動機は電動バイクを既に市販している。
亀山公園と三隈川(大分県日田市) ※写真と本文は無関係です |
「電動バイクを東南アジア市場に投入するのは世界の二輪メーカーでホンダが初」ならば、少しニュース性は弱いが1面に載せるのも理解できる。だが、東南アジア市場での他社の動向には全く触れていない。
◎東南アジアのどの国?
「東南アジアに投入する」とだけ書いて、具体的にどの国に投入するのかは教えてくれないのも気になった。「東南アジア全域」ならばそう書けばいいし、どの国か決まっていないのならば、そこに触れてほしい。
「MONOist」という情報サイトの12日付の記事には以下の記述がある。
【MONOistの記事】
ホンダは、「CEATEC JAPAN 2017」(2017年10月3~6日、幕張メッセ)において、着脱可能な可搬式バッテリーと充放電器でマイクログリッドを構築する「Honda Mobile Power Pack(モバイルパワーパック)」を展示した。
容量1kWhのモバイルパワーパックと、使用後の充電や充電済みモバイルパワーパックとの交換を行うエクスチェンジャーで構成されている。小規模な太陽光発電や風力発電、水力発電と組み合わせることにより、エネルギーの地産地消を実現する。
2018年にはフィリピンやインドネシアでモバイルパワーパックを使った実証実験を予定しているほか、日本郵便との協業でも使用する計画だ。また、これらの実証実験に合わせて2018年中に交換式バッテリーで走行する電動バイクを投入する計画だ。
◇ ◇ ◇
これを見ると「東南アジア」の中でも「フィリピンやインドネシア」で先行して販売するのではないかと思える(断定はできない)。
◎なぜ「東南アジア」?
ホンダがなぜ「東南アジア」を選んだのかも日経の記事ではよく分からない。「世界最大の二輪市場のインドは20年から欧州と同水準の排出ガス規制を導入する予定だ。ベトナムでもハノイ市で中心部へのバイクの乗り入れを20年から段階的に禁止する方針だ」とは書いている。だとしたら、「世界最大の二輪市場のインド」はなぜ後回しなのか。
大分市美術館(大分市) ※写真と本文は無関係です |
記事の書き方からは、インドや欧州では既に投入済みとの可能性も残る。その場合は「なぜそのことに触れないのか」「だとしたら『東南アジア投入』を1面で扱う必要があるのか」との疑問が生じる。
※今回取り上げた記事「ホンダ、電動バイクを東南ア投入 着脱式電池、家庭電源に」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171019&ng=DGKKZO22403250Y7A011C1MM8000
※記事の評価はD(問題あり)。
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