2017年9月10日日曜日

偏差値トップは東大理3? 週刊ダイヤモンド「大学序列」の矛盾

週刊ダイヤモンド9月16日号の特集「1982~2017 35年の偏差値と就職実績で迫る大学序列」に間違いだと思える記述があった。「全国の大学の中で最も高い偏差値をたたき出しているのは今も30年前も、東京大学の理科三類である」という部分だ。特集に出てくる表で偏差値の変遷を見ると「今も30年前も、東京大学の理科三類」は「最も高い偏差値をたたき出して」はいない。
九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県鳥栖市)
         ※写真と本文は無関係です

ダイヤモンド編集部に以下の内容で問い合わせを送ってみた。

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部  副編集長 臼井真粧美様  小島健志様 堀内亮様 大根田康介様 西田浩史様

9月16日号の特集「1982~2017 35年の偏差値と就職実績で迫る大学序列」についてお尋ねします。Part 5の「『東大』よりも医学部! エリート街道の変貌」という記事に「全国の大学の中で最も高い偏差値をたたき出しているのは今も30年前も、東京大学の理科三類である」との記述があります。

しかし「特別付録~大学35年間の歴史を凝縮 181大学1122学部『全』偏差値」という表を見ると、30年前(1987年)の偏差値(ベネッセコーポレーション)は東京大学で言えば文1が81、文2が80で理3の79を上回っています。2017年でも文1は80で理3の79より上です。

17年の私立大学を見ると、慶応義塾大学に法(83)、経済(81)、早稲田大学に法(80)、政治経済(82)、商(80)、国際教養(80)と東大理3の79を上回る偏差値がかなりあります。

文系と理系、私立と国立などを単純に比較できないのは分かりますし、東大理3が難易度では「今も30年前も」最も高いのかもしれません。しかし「特別付録」を見る限り「全国の大学の中で最も高い偏差値をたたき出しているのは今も30年前も、東京大学の理科三類である」とは言えません。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が目立っています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

ついでに「『東大』よりも医学部! エリート街道の変貌」という記事にいくつかツッコミを入れておこう。


◎「志願倍率は20倍、30倍が当たり前」?

私立医学部の志願者数は年を追うごとに増えている。志願倍率は20倍、30倍が当たり前(130ページ表参照)」と書いてあるので表を参照すると「主要私立大医学部の志望倍率ランキング」で2017年に20倍を超えているのは6位までだ。7位の近畿大学は17.5倍、8位の慶応大学は8.8倍、9位の東京慈恵会医科大学は6.9倍と急低下する。これで「20倍、30倍が当たり前」と言うのは苦しい。せいぜい「20倍、30倍も珍しくない」ぐらいだ。
渕野病院(大分市) ※写真と本文は無関係です


◎「軽く」が要らないような…

記事には「どんな私立医学部であれ、最低でも早慶理系学部に軽く受かるレベルでなければ、合格は難しくなっている」との説明も出てくる。記事中の表によれば、ベネッセの偏差値で私立大医学部の最低ラインは68。一方、「早慶理系学部」を見ると、慶応理工、早稲田先進理工はともに71だ。

偏差値だけ見ると、「早慶理系学部」に合格できるレベルならば、私立大医学部の下の方は狙えそうだ。「最低でも早慶理系学部に軽く受かるレベルでなければ、合格は難しくなっている」というくだりの「軽く」は要らない気がする。


※今回取り上げた記事「『東大』よりも医学部! エリート街道の変貌
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/21221

追記)結局、回答はなかった。


※今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

昔の津田塾は「女の東大」? 週刊ダイヤモンド特集「大学序列」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_11.html

九州知らずが目立つ週刊ダイヤモンド特集「大学序列」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_17.html

1 件のコメント:

  1. そもそも論として、ベネッセのようなインチキ偏差値番付一本で、妄想記事をでっちあげているところが、購読者どんどん減る週刊ダイヤモンドの悲惨なところだろう

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